【utit】満月の夜、君は優しく微笑んで…【短編集】【合作】

続 ページ20

nqrse side

ずっと、昔からAの事が好きだった。
なのに、中々素直になれず、ずっと言えなかった。
あの時、告白するチャンスだった。
luzにも応援してもらって、後は勇気があれば…と思いながら、Aに話しかけようとすると。
『ねぇ、なるせ。』
「ん？何？」
『私ね、なるせの事が―――…』

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Aは、俺の事が嫌い。
だから、これは俺の一方的な片想いに過ぎなかったみたいだ。
だから、告白しなかった。
それと同時に、Aへの気持ちも消す。
「好きだったよ、A。」
Aの近くで、聞こえないくらいにボソッと呟いて、この気持ちは封印することにした。

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俺は、ある時告白された。
学校一可愛いとかいう、東璃菜とか言う子から。
俺は、断る気にもなれず、付き合う事を選んだ。
理由は特にない。
あるとするなら…恋とは何なのかを知ることが出来るのか、という好奇心から。
東と付き合う事になった俺を、luzやあらき、色んな人が祝ってくれた。
ただ一人、浮かない顔をしてたのには、気づかなかったが。

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ある時、luzから呼び出された。
何の話か、と悪態をつきたかったが、luzの口から出てきたのは予想外の事実。
「Aちゃんは、nqrseの事好きやけど、何で璃菜ちゃんと付き合ったん？」
何で。
嫌いって、言った。
Aは、俺の事嫌いって、言ったじゃん。
「luz、嘘言ってるのか？」
「嘘やない。璃菜ちゃんと付き合うってnqrseが言ったとき、すごく悲しそうにしてたで？気づかなかったん？」
luzの瞳は、物凄く真剣だ。
嘘じゃないのか…。
じゃあ、なんでAは、俺の事嫌いって言った？

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気になった。物凄く気になった。
Aの口から、真実が聞きたかった。
だから、呼び出した。
「Aに、聞きたい。」
「あの時の告白って…どうなの？」
単刀直入に聞いてみた。
すると、Aの口からは。
『聞いてどうするの？』
『そんなこと聞いたって、なるせが私の事を好きなんて、嘘に決まってるくせに。』
『あの時の告白なんて、嘘に決まってるくせに。』
…俺が、Aの事を好きなのが、嘘…？なんで。
…あ。東と付き合ってるから…？
俺が、東の事を、好きだとAは勘違いしてる…？
いや、勘違いという問題じゃない。
付き合うという事はつまり、お互いが好きだから付き合うという事。
そうだよな…
でも、A。俺は好きだよ。
ずっと、好きだよ。
この想いが届かなくても。

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