世界一愛する君の側へ

約束 [神威] ページ27

『そんなとこで寝てると風邪引くよ』


俺が銀魂高校の屋上で寝ていると声が掛かった。


「よぉ、A」



隣にいた阿伏兎が声を発し、誰が来たのか察した。


ガバッと起き上がり、声をかけてきた人間に抱き付いた。



「A〜!!!!」



『引っ付くなよ

というかどうやって───』



そう口では言いながら、邪魔扱いはしないのを俺は知ってる。






俺はねA。


昔、花魁だった君を一度だけ見たことがあるって言ったね。


違うんだ。




会ったこと、あるんだヨ。


たった一度。


吉原に行くあの道で。

君は吉原に売られに連れていかれるところだった。


俺は鳳仙に付いて第七師団に入ったばっかり頃だった。



怪我をしても俺は放っておいたけど、Aは俺の怪我を見た時、


『怪我すごい、大丈夫?』


そう言って、手当てをしてくれた。


それだけ。
たったのそれだけだ。



「僕達のお姫様」って言ったよね。




シンスケだけじゃないんだ。


俺も、Aを探してたんだヨ。


でもAはシンスケしか目に入ってなかった。

花魁の着物、君が足抜けをして、すぐに捨てたあの着物。


あれと同じとまではいかなかったけど、君の花魁姿をもう一度だけ見たくて、

あの着物を渡した。



馬鹿だと罵られても良い。



君が好き。


その気持ちは昔からある。




でもそれは口には出さないヨ。



君は、俺じゃ幸せに出来ないから。


君はシンスケと幸せになるためにこの世に生まれたんだ。


シンスケから恋愛相談だって受けたこの俺が言うんだ。間違いない。



だから、


「A」



『なに?』




「幸せになってネ」



『??う、うん?』




今は意味が分からなくたって良い。


俺の分まで。







「約束だヨ?」





約束だヨ。

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