Episode 01 ページ2
＊＊
そのサイトを知ったのは今から約一ヶ月ほど前だった。
何となく。
明確な動機は今でも持ち合わせておらず、ただの好奇心と自分に変化を与えたくて始めたのだと思う。
一番はじめに連絡を取り合った人こそ、先日の彼女、Aさんだ。聞けば彼女も友達に進められて適当に、何となくで登録をしたのだと言う。ちなみにそれ以降誰とも連絡を取り合っておらず、寂しいかな僕のサイト内の会話履歴は一つだけだ。
そのサイト――所謂出会い系と呼ばれている――の中で、素人目でも異端だと感じたのがAさんだった。多くの人が性行為を求めているのに対し、彼女が求めるものは『キス』。詳しい事は今でも知らない。何度家へ行って、何度唇を重ねても、僕は何も知らない他人でしか無いのだ。
――彼女に「るす」では無くて「僕」を意識してほしいと願う自分と、このままが一番幸せだと思う自分が居るのは、また別の話。
「……いま何してるんだろ」
はあ、と息を逃がすと禁断症状が出たのか某トークアプリを開いて、彼女とのトーク履歴を見る。面白いくらいにワンパターンで新鮮味のない所がAさんらしい。
突然、ぴこんとランプが点灯したかと思うと画面上部にメッセージが表示された。送り主の友達は「今から飲まない？」と言っている。タイミングが良い、丁度暇を持て余していた所だった。僕はメッセージ画面をタップして、トーク画面に飛ぼうと――した。飛んだつもりだった。
機体から聞き覚えのある電子音が流れ始め、それは三コールとしない内に止む。この状態を一言で表すならば、僕は彼女に電話をかけてしまい、彼女が出てしまったという事だ。
ど、どうやって説明しよう、怒られないかな、なんて不安に煽られながらスマホを口に近づけた。
「す、すみませんちょっと手違いで掛けちゃって」
「手違いだったんですか！ るすくんらしいね」
電話口から、くすくすと上品に笑う声がする。
「ほんとすみません……失礼しま――」
「あ、ちょっとまってください」
僕はなんですか？ と聞き返した。
「もうちょっとだけ、話しませんか」
＊＊
続く
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雀夜 - あと私も作品を作っていますがマジカル初心者ですよ初心者どうし頑張りましょ (2017年11月6日 17時) (
レス) id: 7bf7f79e68 (このIDを非表示/違反報告)
雀夜 - 更新お疲れ様ですとってももどかしい感じがしていいですな (2017年11月6日 17時) (レス) id: 7bf7f79e68 (このIDを非表示/違反報告)
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