たとえ貴方が忘れても【進撃】 (ページ5)

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のっぽくん、

そう呼ばれた長身の男の人は私の言葉に反応するように身体をこちらに向けてほほ笑みを浮かべた。
女子高育ちの私でも、良い人なんだろうなと思わせるようなおっとりした様子に少し緊張が緩まる。

べ｢僕はベルトルト、A…さん？よろしくね｣

空いた窓からすきま風が通り、星の消えた夜空を模したような彼の黒髪を揺らす。

(生まれ変わっても、また貴方と生きる道を選ぶ)

ズキリと重く頭が痛んだ、これは誰の言葉なのだろう。
私によく似た声が脳内で囁きかける。

べ｢だ、大丈夫かい？？｣

私は痛みに思わず目を瞑った、瞬間思い出される顔の歪んだ青年。
青年は頬を包み優しく話しかけている、その相手はおそらく私なんだろうと思うほかなかった。

貴｢ッ………｣

痛みは広がる、でも私はこの瞬間を待っていたのかもしれない。
欠けているピースが収まるようなそんな瞬間を。

ハ｢Aちゃん！！！？

ごめんそこの君！リヴァイを呼んできて｣

ハンジさんの声を最後に汗ばむ身体と、目の前が真っ暗に＿＿

ベルトルトside

苦しそうに過呼吸を起こしたかと思えば、糸が切れたように倒れたAの姿に周りの生徒は身動きひとつ取れずにいた。

ラ｢お、おい、どうしたんだよ｣

ア｢わかんない、でも私たちと同じ記憶を持ってるわけではないだろうね｣

どうしたらいいのか分からないうちにハンジさんが駆け寄り、倒れた瞬間にぶつけた箇所はないか確認をしている。

リ｢A！！！！｣

倒れたことにもそうだが、普段冷静沈着で生徒の名前など苗字呼びで事足りている保健教諭が真っ青な顔をしながら教室に入ってきたことには更に生徒全員が驚かされた。

ハ｢過呼吸のような症状から、意識を失ってるね。

ぶつけた箇所は今のところは腫れてないみたい、またいつものかな？｣

彼女は転校初日、なのに2人はまるで彼女を昔なじみの知り合いのようにやり取りをしている。

リ｢俺が運ぶ、あいつらには俺から連絡しておくからこの状況だけ頼んだ｣

ｷｬｱと黄色い声があがる、微かに女子生徒から人気を得ている保健教諭が転校初日の女子生徒を抱きかかえ手馴れた様子でハンジさんに指示を下していた。

リ｢すまない、俺がしっかり見てやれば｣

保健教諭、もといリヴァイ兵長…リヴァイ先生は悲しそうな顔で僕を見つめた。

それが僕に対する敵意なのか、謝罪なのかは分からなかった。