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ベルトルトside
つまらない毎日、
退屈な時間。
生まれ変われたことすら奇跡の僕は、何千年も前の記憶を宿し何不自由なく育つことを許された。
幼馴染となったライナーやアニも、僕と同じ記憶保持者で退屈な日々を過ごすことに初めは感謝すらしていた。
だが、Aだけは未だ。
季節の変わり目、校庭の紅葉が綺麗に彩り始めた週明けはやけに憂鬱だった。
担任は出張で、ホームルームの時間になっても現れぬ教諭に皆思い思いの時間を過ごしている。
だがその時間も終わりを告げ、ガラリと扉の音が教室に響く。
ハンジさんか…？
ハ｢やぁやぁ、今日はエルヴィンが居ないから私の方で一限目は取り仕切らせてもらうよ〜！
さあ入って！｣
いつもの口調から、いつもとは違うパターンにしんと静まり返る教室。
僕は思わず息をとめた、意識的にでは無い無意識に。
まるでそうすることがごく当たり前のように。
ハ｢こんな時期だけど素敵な仲間が1人増えることになりました〜！｣
ハンジさんが僕の顔をちらりと見やる、
ライナーもアニも、僕の表情だけをしかと見つめていた。
忘れもしない、何千年前からだいぶ見た目も変わっているが確実にAだ。
立ち上がって駆け寄りたい衝動を押え、Aの一挙一動に目を見張る。
貴｢あ、あの月城Aと言います。
両親の転勤を機に引越ししました。えと…仲良くしてくれると嬉しいです｣
僕は彼女の着ている制服を見て、見つからない理由も全て理解が追いついた。
有名私立女子高校のワンピース、地域をまたいでいるが女子憧れの高校であることからある程度アニからは聞いていた。
人見知りをしているのだろうか赤くなった顔がまた可愛らしい。
ハ｢自己紹介をして……おっと、その前に席を決めなきゃね｣
ハンジさんが辺りを見回し、やけに緊張感の高まるクラスメイトの男子に少し嫉妬を感じた。
隣の席のライナーはすかさず立ち上がると、
ラ｢学級委員の隣の方が便利なんじゃないか？
俺は1つ後ろの席に行くから｣
と僕を指さした。
押し進められるようにして学級委員になったものの、まさかこんな役得があるなんて。
ハンジさんは少し考える素振りを見せ、
ハ｢まぁ、いいんじゃないかな、Aちゃんはのっぽくんの隣の席にしよう｣
ライナーはぐっと親指を立てて見せ移動の準備をしている。
Aはゆっくりと僕の近くにより、
貴｢初めまして、よろしくお願いします｣
と、控えめに笑った。
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作者名：もか。 | 作成日時：2023年11月13日 7時
