１ ページ2
目が覚めて、
ふと思い出したと思うと手放している何かがある。
夢の中でたまに出てくる男の人が、私の王子様だったら良かったのにと友人にもらしては笑われる日々。
貴｢えっシンガポール？！｣
そんな日々は父親の海外への転勤によって音を立てて変化していくことになった。
母｢Aも一緒にシンガポールに行ってくれるわよね？｣
期待を込めた表情に、心苦しくはなるが胸の内を話す必要性はある。
私は両親に向かって医者になり成し遂げたい事があると伝えた。
2人は初めこそは顔を見合せ悩んでいる様子だったが、机上に置かれたパンフレットを私の前に差し出すと揃って頷いた。
｢じゃあ進撃高校に転校するのはどう？？｣
医者になりたいことは幼い頃から話していたため、2人は断られることも前提としていたようだ。
さすがに一人暮らしは危険だと感じ、親戚が持っている土地のマンションに住むならば安心じゃないかと双方話を進めていたらしい。
貴｢進撃高校って、今より少し偏差値下がっちゃうんだよね……｣
たまに問題行動が起こりニュース沙汰になってることも見受けられる、そもそも2年生の転校で友達はできるだろうか。
貴｢分かった、ありがとう色々考えてくれて｣
私の返答に両親は立ち上がり、肩を抱く。
家族はいつだって一緒だから、と。
(何となく、ここ日本に居なきゃ行けない気がするし……)
私は産まれる前から定められた未来が、きっとある。
？｢よう、5年ぶり？か｣
貴｢久しぶり、やっぱりリヴァイさんの経営するマンションだったんだね｣
引越しの準備を手伝うと言ってくれた相手は、幼い頃から変わらず兄のように接してくれた従兄弟のリヴァイさんだった。
血縁ということもあり、見た目が多少似ているのか周りからは本当の兄妹のように思われていたこともある。
20代後半にしては若々しい見た目は数年前に会った時とさして変わりは無かった。
貴｢ごめんね、迷惑かけちゃって｣
リ｢いや、お前は直ぐに体調を悪くするし親も心配になる気持ちは分かる。
進撃高校の保健室にはいつでもいるから何かあれば相談に乗る｣
両親がリヴァイさんを頼った理由はもうひとつある、
いま話した通り私は幼い頃から体が弱く外を走り回ったり、部活をしたりとは縁遠い生活を送っていた。
手術を繰り返すうちに段々と良くはなったが今も走ったりは長く続けられない。
だからこそ医者になりたいと切望したのだろう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 224人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：もか。 | 作成日時：2023年11月13日 7時
