過日の二人4 ページ9
過去の記憶を思い出しながら話していくと、ヒューズは時々声を上げて笑いながら、その話に耳を傾けてくれた。
「あー。そういや言ってたなロイの奴。最初はくそ生意気なガキだと思ってたって」
ですよね〜、とダリアは頷く。もちろん自覚はあった。
「あの頃の私は最初から最後まで不遜で思慮の薄っぺらなお子ちゃまでしたよ」
黒歴史でも思い出すかのように項垂れるダリアに、ヒューズは訪ねる。
「今は?」
冗談めかしたその若緑色の瞳には、強かな輝きが灯っていた。
その光は、マスタングの物と同じ色をしていた。なんとなく、そんな気がしたのだ。
ダリアは少し真面目に答える。
「マスタングさんの役に立ちたい、です。色んな事から逃げてきた私に、手を差し伸べてくれたのはマスタングさんでしたから。彼の願いの手伝いを。私も、私に出来る形で支援したいんです」
例え今は無力でも一歩ずつ。彼は民衆を想うが故の野望を抱えてピラミッドの頂点に噛み付いていこうとしている。ダリアがついて行かない訳はない。そんな覚悟を持って今は関わっているのだ。
そう言うクセににお使いひとつマトモにこなせないなんて野暮な指摘はナシだ。
「聞いたのか、その話」
彼の願い、というダリアの言葉にヒューズはぴくりと反応する。
ダリアが無言で頷けば、彼はニヤリと口角を上げた。
「俺も、同じ目的だ」
「心強い仲間が沢山なんですね。あの方は」
「あぁ」
不可能だとか、愚かだとか。そう言う諦めで一蹴するでもなく、同じ未来を描く人達がマスタングの元につどっている。
ダリアにはそれが我がことのように嬉しく、そして心強かった。ヒューズも同じだったのだろう。
街明かりに霞む月も、何だか今日はとても近くに感じられた。
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ウィワクシア(プロフ) - もぶおじさん» コメントありがとうございます!!嬉しすぎてころげまわってました。精進しますので今後ともよろしくお願いいたします! (2019年3月20日 16時) (レス) id: 4474fbdae4 (このIDを非表示/違反報告)
もぶおじ(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからの展開に心を躍らせて待っております。体に気をつけて更新頑張ってください! (2019年3月20日 1時) (レス) id: d5af19b99a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ウィワクシア・D | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/793fed8a0b1/
作成日時:2019年3月19日 14時