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竈門炭治郎さん 肆 ページ24

すると炭治郎はAの頭を何度も撫で、柔らかい声で語りかけた。

「無理はしなくていい。まだ痛むんだろう
俺が家までちゃんと送っていくから安心してくれ。」


ぽたり。
Aの瞳から涙が落ちた。
一度流れてしまったそれは、ぽたりぽたりと止まることを知らないかのように溢れ続けた。

それを見た炭治郎は焦りに焦りまくり、
「あっ!?そうだ痛むんだよな!?触らない方がよかったか!?すまないA!」
などと見当違いなことを言っていた。

Aはきゅ、と炭治郎のシャツの裾を握り、ふるふると首を振った。

「ちが、う…っ!違うの…!ごめんなさい……!
迷惑かけたこと、謝りたくて……!」

ひっく、としゃくりあげながらAは必死に言葉を紡いだ。

「わたしを保健室まで運んでくれたの、嬉しかった、から…!お礼も、ちゃんと言いたくて…
でも起きたら放課後だったし、炭治郎くんも帰っちゃったと思ってたからぁ……!!」

わーん!と赤子のように泣きながら鼻を啜り、目元をこすった。
すると炭治郎はAの手を握り、トントンとハンカチで拭ってくれる。

「擦ったら駄目だ。腫れてしまう。
Aの気持ちはちゃんとわかってるよ、大丈夫。」

「落ち着いたら、一緒に帰ろう。
ゆっくりでいいんだから。」

にこっと笑いかけてくれる炭治郎の笑顔はあまりにも優しくて、Aはまた泣いてしまいそうになった。


「珠世先生!あの、Aが体調悪いみたいで……!顔色がすごく悪いんです!!手も、冷たくて…!」
「途中で返事もしなくなって、俺……!」
「大丈夫ですよ、炭治郎さん。落ち着いて。
Aさんのこの症状はよくありますから。
その時はここの常連です。」

にこり。
笑顔を湛えて保健医は女子生徒をベッドに、と促した。

「ちゃんと治りますか……?」

今にも泣きそうな男子生徒を見て、保健医はぽんと肩を叩いて頷いた。

「女の子の悩みのひとつです。
Aさんはその悩みが強い方なので心配していましたが…。
気付いてくれてありがとう。炭治郎さん。」
「女の子の……悩み?」

こてん、と可愛らしく首を傾げる男子生徒に
保健医は人差し指を己の唇に当て、Aさんには直接言わないように。と微笑んだ。


「……あっ…!?」

意味を理解したのか、その女の子に恋する男子生徒はみるみる顔を真っ赤にして勢い良く保健室から出て行ったとか。

我妻善逸さん 壱→←竈門炭治郎さん 参



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三色 ─みしき─(プロフ) - 煉獄推しさん» 申し訳ありません。只今リクエストは受け付けていません。 作品を読んでくださりありがとうございます (2021年7月4日 10時) (レス) id: d6f8835509 (このIDを非表示/違反報告)
煉獄推し - リクエストオッケーですか?オッケーなら、返信が来たときに送りたいのですが… (2021年7月2日 18時) (レス) id: c685ed7b70 (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - みしろさん» いえいえ、拙いだなんてそんな!みしろさんの作品大好きです!いやいや、私こそ様なんて付けなくていいのですよ…!あわわ、ありがとうございます…!変則的なので不安ですがもそもそ活動していきます…! (2019年7月4日 2時) (レス) id: ebec16ed5f (このIDを非表示/違反報告)
みしろ(プロフ) - すいさん» なんと……!!私の拙い文章を読んで下さっていたとは!!有り難き幸せ!!様なんて付けないでください!!むしろ此方が様を付けなければいけないような……(?)すい様のペースで良いのですよ…… (2019年7月4日 2時) (レス) id: 509e58e731 (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - みしろさん» みしろ様 ひょえ〜ッッ!ありがとうございます…!実はこっそりみしろ様の作品を見てましてひっくり返りそうになりました…。ありがとうございます、まったりと更新していきますね(´▽`) (2019年7月4日 2時) (レス) id: ebec16ed5f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:三色 | 作成日時:2019年6月17日 3時

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