検索窓
今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:84,040 hit

竈門炭治郎さん 弐 ページ22

あ、やばいかも。
他人事のように思って、Aは足に力が入らなくなるのを感じた。

ぐにゃりと視界が歪み、そしてたった一人で耐える心細さ、痛さが頂点を越えてAの瞳からは涙がこぼれた。


「A!!」

ふら、と後ろに倒れていくAの体を支えてくれたのは
教室に居たはずの炭治郎だった。
床に倒れたはずなのに痛くない、と不思議に思い目を開く。

一番最初にAの瞳に映ったのは、焦った表情でAの額やら頬やらにぺたぺたと触れる炭治郎だった。

「熱…なのかこれ?すごく熱い……。
A、大丈夫か?俺のこと見えるか?」

優しく心地良い声音が耳に入り込んでくる。

「たんじろう、くん…。みえるよ、」

声を出すのももはやつらい。
Aは時折顔を顰めながらもきちんと答えた。

「よかった。煉獄先生にはもう伝えてあるから。
保健室まで運んでやる。もう少しだけ頑張れるか?」
「え、あ…それはだいじょうぶ、だけ、ど……」
「よし。えらいぞ。
少し揺れるけど許してくれ」

そう言うと、炭治郎は優しくAを抱き上げた。
具合が悪いのだから極力揺らさないように、痛いところがあるのなら触れないようにと細心の注意をはらって。

一方、抱き上げられたAは珍しく大人しかった。
普段なら羞恥で死んでいるか暴れ回っているところだ。
恐らく思考回路が上手く働いていないのだろう。
目は虚ろで、移動中も痛そうにきゅっと目を閉じて全身に力が入っては脱力、を繰り返していた。

そして、心のどこかで安心していたのであった。

(すごく、あったかい。)
(なんだか優しいものに体を包まれてるみたい。)

「…A?」

気付くと、保健室の一歩手前でAは眠りに落ちていた。


「目が覚めましたか?」
「珠世先生……?」
「はい。ここは保健室です。
お腹以外に痛むところはありますか?」
「ない、です」
「よかった」

ニコ、と微笑んでくれる珠世は美しく、惚けているとAはあることに気づいた。

「先生、わたし……どうやってここまで来たんですか…?」

そう。教室を出て少し歩いた所で記憶が飛んでいる。
なんだかとても安心していたような、そんな気がするのだが。

「ああ、炭治郎さんが貴女を抱えてここへ来たんです
戻ったらお礼を言うんですよ。」

また優しく微笑みかけて、机に向かう珠世の口からはAには到底信じられない発言が。

竈門炭治郎さん 参→←竈門炭治郎さん 壱



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (137 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
248人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 短編集
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

三色 ─みしき─(プロフ) - 煉獄推しさん» 申し訳ありません。只今リクエストは受け付けていません。 作品を読んでくださりありがとうございます (2021年7月4日 10時) (レス) id: d6f8835509 (このIDを非表示/違反報告)
煉獄推し - リクエストオッケーですか?オッケーなら、返信が来たときに送りたいのですが… (2021年7月2日 18時) (レス) id: c685ed7b70 (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - みしろさん» いえいえ、拙いだなんてそんな!みしろさんの作品大好きです!いやいや、私こそ様なんて付けなくていいのですよ…!あわわ、ありがとうございます…!変則的なので不安ですがもそもそ活動していきます…! (2019年7月4日 2時) (レス) id: ebec16ed5f (このIDを非表示/違反報告)
みしろ(プロフ) - すいさん» なんと……!!私の拙い文章を読んで下さっていたとは!!有り難き幸せ!!様なんて付けないでください!!むしろ此方が様を付けなければいけないような……(?)すい様のペースで良いのですよ…… (2019年7月4日 2時) (レス) id: 509e58e731 (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - みしろさん» みしろ様 ひょえ〜ッッ!ありがとうございます…!実はこっそりみしろ様の作品を見てましてひっくり返りそうになりました…。ありがとうございます、まったりと更新していきますね(´▽`) (2019年7月4日 2時) (レス) id: ebec16ed5f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:三色 | 作成日時:2019年6月17日 3時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。