捕まった。 ページ15
その日、基地内が少し騒がしかった。
ci「お、Aやん。おはよぉ」
いつも通り食堂へと足を運ぶと、チーノに出会った。
朝だからか、普段以上に髪が跳ねていた。
『あ、チーノ。おはようございます』
今日は苺にしようかな。
苺もフルーツサンドとプレーンヨーグルトを頼み、ゆっくりと咀嚼していると、隣にチーノが座ってきた。
『チーノ、今日はなんだか騒がしいですね、何かあったんですか？』
ci「え？ああA知らへんの？白い慈悲鬼がエプンク国に捕まったらしいで、大丈夫なん？」
カラン、とヨーグルトを食べたスプーンが私の手から落ちた。
『……ぇ？』
私の口から出たのは酷く小さく、困惑の言葉だけだった。
エプンク国は近年、隣国との戦争が頻発していて、我々国は入国審査も厳しくされていた。
『兄さん、今日明日で休みを取りたい』
兄さんにそう訴えると、
gr「…エプンク国か？」
じ、と真っ赤な双眸が私を捉えた。
私と似ているのは瞳の色だけだなぁ、なんて場違いな事を考えた。
『そう。滞在ビザは取れた。お願い』
gr「あかん」
兄さんは即答した。
そしてすぐに活字の山に視線を戻した。
『な、なんで』
エプンク国は今年に入って諜報員や暗殺者の処刑人数が急激に増加した。
他国に比べると何倍も捕まってしまえば処刑されそうなリスクが高まるのだ。
『なんで、育ての親が殺されるかもしれへんのに？指咥えて待ってなあかんの？』
gr「お前はこの国の幹部や。そう簡単に単独行動するな」
ああ、この人はやっぱり嫌いだ。
『…親のところにも行かせて貰えないんですね』
私は大人しく部屋を出た。
『…ごめんなさい』
窓枠に足をかけた。
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作者名：はぁな。 | 作者ホームページ：
作成日時：2022年4月17日 14時
