16話目〜風丸side〜 ページ18
基山が言う通り、Aは可愛いし、いつ誰かに
取られてもおかしくない。
怖いけど言うしかないんだ。少しでもチャンスがあ
るなら。
帰り道、俺はずっと考えていた。なんて言ったら伝
わるのかを。
今はもう夕方。ビンクと水色のグラデーションの空
が真上に広がっていて、耳を劈くような蝉の声とは
取って代わってヒグラシが静かに鳴いている
俺とAの間に沈黙が続く
やっと俺は口を開いた
『あのさ…』
すごくドキドキして心臓が飛び出そうだ
Aの背は俺の肩くらいだから、聞こえてたり
しないかな…
A「ん？どうしたの？」
『俺……Aのこと好きだ。だけど、A
がもし俺とこのまま友達のままがいいと思うなら、
今言ったことは忘れてほしい。』
Aの足が止まった
A「忘れることなんてできないよ！あたしは
風丸にとっての特別になりたいし、あたしも風丸の
ことすっごいすっごい好き、優しくてあたしのこと
お姫様みたいに扱ってくれて…なのに脈ナシみたい
な態度とりやがって〜！！！」
そう言って君は泣き始めた
その前にA、なんて言ったっけ？
俺のこと好きって言ったのか…？
思い返すと熱くなる。夕焼けの空のせいで俺の顔は
さらに真っ赤になっているだろう
俺はグイッとAを自分の胸に抱き寄せた
小さな身体は俺の腕にズッポリとおさまる。
ずっとこうしたかったんだよな…俺は
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 6人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：水素 | 作成日時：2018年7月29日 0時
