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Aside
「でも、黒河のロッカーの中から証拠が見つかったんですよね?」
「それは遊佐さんが仕込んだんでしょ?蔵沢先輩達が犯人じゃないって私たちに言われて、急ごしらえで黒河先輩を真犯人にでっち上げるために。」
「誤解です。大体私には、蔵沢先輩達を殺すことなんて絶対、
不可能です。だって、あの時部室も映写室も密室だったんですよね?」
「あぁ確かに、あの時部室も映写室も鍵が掛かってた。
でも君は、ある大胆なトリックを使って蔵沢先輩を犯人に仕立て上げたのさ。」
「まぁよく、こんなこと思い付いたよね。今から見せてあげる。
鍵が掛かって密室だったこの部屋にいながら、
同じく密室だった映写室の蔵沢先輩の手にこの鍵を送り込むところを。」
ノートに書いたこの部室から映写室までの絵で最初私達は説明をした。
「密室の部室から密室の映写室まで鍵を送り込む?
そんなのむちゃだよ、はじめちゃん。Aちゃん。」
「そうですよ。できるわけないですよ。」
「まぁ、待ってよ。このトリックの最大のポイントは、
蔵沢先輩が死んだ時に見てたと思われる映画、"殺人鬼スコーピオン"だ。」
「そもそも、蔵沢先輩が映画を見てる状態で殺された理由は2つあるの。
1つは、蔵沢先輩にフィルムを使って遺書代わりの犯行声明をさせて事件を締めくくること。」
「そしてもう一つの理由は、フィルムを映写室にかけるという行為そのものが二重密室を作る上で必要不可欠だったからさ。」
「どういうこと?」
「「みんな、ちょっと待ってて。」」
私とはじめちゃんは、映写室から部室まで例のフィルムを持ってきて部室の扉を閉めた。
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作者名:反町ゆうり | 作成日時:2022年2月27日 8時