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Aside
「はい、じゃあシーン7の段取りを確認しようか。
Aさんこっち。」
「はい。」
「まず、主演の女子高生のマミが舞台女優を見て、
母校の体育館を見つめるシーン。」
「はい。」
「はい、じゃあ体育館の地明かり消して〜。」
蔵沢先輩の掛け声で、体育館の照明が消えた。
暗い所あまり好きじゃないけど頑張らなきゃ。
「じゃあ前に来て。
一人誰もいない体育館に入って来るマミ。はい、ここで照明ドン!」
照明が私に照らされ、周りも明るくなる。
「あ…Aさん、セリフ。」
「いつか、舞…舞台に立ってみせるわ。」
そのタイミングで体育館の緞帳が自動で上がった。
え…このシーンで、そうなったっけ?
「おいちょっと誰だよ、緞帳上げたの。台本にねぇぞ。」
緞帳が上がって、人が蜘蛛みたいにぶら下がっていた。
それが不気味で気持ち悪く、次の瞬間に仮面が外れ。
「きゃっ!!」
「イヤッ!」
死体は何度か見てきたけれど、やっぱり慣れなくて怖い。
顔を下に提げて見ないようにした。
「泉谷!」
隣の蔵沢先輩はただ見ているだけなのか、それとも驚いて声も出ないのか。
私の手の震えが未だに収まらなくて、自分で自分の手を強く握りしめた。
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作者名:反町ゆうり | 作成日時:2022年2月27日 8時