うちのフィギュアはなんかおかしい【煉󠄁獄杏寿郎】

23．もっと側に…◆ ページ23

黙々と絵を描く顔を眺めていたら
突然手の動きを止めてしまった

何か思い出したような、焦っているような顔で俺の目を見る




『……そういえば煉󠄁獄さん、昨日どこで寝ましたか…?布団も出さずに…ごめんなさい』



そんな事か!



「俺はソファーなるもので睡眠を取らせていただいた!俺のことは気にするな!」


『うわぁぁ……!!すみません…今日は布団ちゃんと出すので!!』





彼女はそう言うと少し考えたあと押し入れから布団を引っ張り出した



「A少女…!気にするなと………」




あたふたしているうちに布団を別の部屋に持っていってしまった


…よもや俺の声は聞こえていないようだ!




「俺はソファーで良かったのだが…」


『遠慮なさらずに!!』





俺のことは見向きもせずせっせと布団を敷いていく

もし、俺に妻ができたらこんな感情になるのだろうか




『じゃあ私はもう寝ますね!おやすみなさい』


「む!絵はもういいのか?」


『はい!お付き合い頂きありがとうございました!!』




もう少しあの時間が続かないだろうか…
名残惜しいものだ

まだ君を見ていたいし、俺は君からどのように見えているのかも知りたい




「そうか…いつか完成したものを見せてくれ」


『あ、はい…!』




無理強いするのは良くないな。




……………A少女が凄く顔を顰めている…
もしや本心では嫌がっている…?

無理強いするのは良くないと考えたばかりだろう!!俺は!何をしている!!




「見せたくなければ大丈夫だ!」



『えっ!?全然見せたくないとかないので完成したらちゃんと見せますよ!元々見せる予定でしたし…』




なら、なぜ顔が…………

だがこの驚き様は嘘をついているというわけでも無いのだろう


　

「はは、すまない。A少女が凄く顔をしかめていたから嫌がっているのかと」



『そんなに顔しかめちゃってましたか…!?すみません、今完成できてないのがなんか悔しくて……』



なるほど…
悔しがっている表情も惹かれるな
なんとも愛らしい



「君は何事にもまっすぐに向き合っている。
そんなA少女を眺めていると愛おしく感じるな!!これからも励むといい!

明日はなにか用事があるのだろう。引き止めて悪かった!!後はゆっくり眠りなさい」



『は、はい……
煉󠄁獄さんだって何でも一生懸命に努力して、意思を貫いて、真っ直ぐで…………………責務を全うして……かっこいいです……………


………………おやすみなさいっ!!』








──バタンッ







…よもや……………ここまで顔が熱くなるのは初めてかもしれんな

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