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不自由な二択【キッド】 ページ29

『はぁ…今日も疲れたなぁ』



残業に残業を重ね、すっかり暗くなった帰り道をトボトボと歩く。
毎日毎日、起きて・仕事して・寝るの繰り返し。休日は仕事の疲れで1日中寝て終わってしまう。
なんて夢がない。つまらない毎日。

好きな人でもいれば少しは景色が変わるのだろうが、生憎とそういう浮ついた出会いは無い。というか今は仕事に疲れすぎていて、そんなことにかまけている時間がない。



『っでも、明日は久々の2連休だからゆっくり寝れる!』

明日は起きれたらどこかショッピングにでも行こうかな。

そんなことを考えながら借りているアパートの前に来て、ギョッと立ち止まる。




『…えっ!?……っひ、ひと?倒れて…る?』



アパートの壁にもたれかかるようにして、人が倒れていた。暗くてよく見えないが、服装からしてきっと男の人。
誰かいないかとキョロキョロと周りを見渡してみるが、時間はもう真夜中だ。誰もいない。


救急車を呼んだ方が良いのかもしれない。

とりあえず意識の確認をしないと___




『あっ、あの、大丈夫ですか…?』


反応は無い。
見ると、身体中に傷が付いていて出血しているのが分かった。これは、早く救急車呼ばないと…!



『っ、そうだ!脈を確認しなきゃ…!』



そう思って男の手首に手を伸ばしたその時

掴もうとしてその手が、逆に男に掴まれた。




『ひっ…あっ…!?』

「…………誰だテメェ」



低い声。
そして何より圧倒的な威圧感。

殺される、そう思った。




『わ、たし……その、ここのアパートが家で、あ、あなたが倒れていたので、その…』

「………。」



しどろもどろになりながら何とか伝えると、男は無言で自分の周りを見渡した。

そして


「……そうか。悪かったな」


それだけ言うと、また目を瞑った。

汗もすごくかいている。痛そうだし、苦しそうだ。




『あっ、あの、救急車を呼びましょうか?』

「…何だそりゃ」

『えっ!?』


救急車を知らないの!?
救急車を説明しろって言われてもしたことないよ!



『え、えっと救急車は政府が運営してて、病院に運んでくれる車のこと…ですかね。傷だらけですし病院に行った方が良いですよ!』


そう言ったが男は「いらねぇ」と即答してきた。


「…海賊が政府の力借りれるわけねーだろ」

こんな傷、寝てりゃ治る。絶対呼ぶんじゃねぇぞ。

そう言うと彼はまた目を瞑ってしまった。








…どうしよう。

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りんす(プロフ) - がああああああああルッチ最高かよぉ (2022年10月23日 18時) (レス) @page45 id: 4a6f5c0ec0 (このIDを非表示/違反報告)
矢車菊(プロフ) - ヤンデレありがたい…!凄く好きです(*´∀`*) (2022年8月12日 22時) (レス) id: 0b94572497 (このIDを非表示/違反報告)
kuromado1karen(プロフ) - 主人公ちゃんの容姿どんな感じかな? (2022年7月3日 9時) (レス) id: 069b817a50 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - みみうさぎさん» 光栄です!ありがとうございます! (2021年9月18日 23時) (レス) id: 84a23c082a (このIDを非表示/違反報告)
みみうさぎ - 大好きです!頑張ってください! (2021年9月17日 14時) (レス) id: 8d5ca27f42 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年4月20日 19時

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