六人目の五年生はあいつの弟 (ページ4)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:14,019 hit

兄弟喧嘩ページ4

『……くっ、そ。やっと振り切った…』

「おかえりA」

壁を伝ってやっと自室へと戻ってきたA
だが、その体はボロボロだった。

あの後復活した勘右衛門と兵助を同時に相手したからである。
それから何とか長屋へたどり着いたAは自室の戸を引き一歩踏み込んだかと思えばそのまま床へと身を落とす

部屋には既に八左ヱ門が戻ってきており、苦笑いしながら迎え入れてくれた。

『ただいま…』

「どうしたんだよその格好」

『どうしたもこうしたも…勘ちゃんと兵助、に…』

(…あれ？)

ふと、目の前の八左ヱ門に違和感を覚える。

普段から見ているからか、頭で認識する前に体が反応してしまった。

(なんだ、この感覚)

じーっと見ていれば怪訝そうな顔をされた

『……』

「おい、A…？どうし、！？」

　起き上がり、ゆっくり八左ヱ門に近づく。
そして、今日一の速度で“奴”の間合いに入り込み顔へと手を伸ばす

「…！おっと、あぶねーな。
せっかく作ったのに破ろうとするなよな」

(ﾁｯ…外した)

『もう正体はわかってんだよ。さっさとその八の猿真似はやめにしたら？三郎』

「さ、猿真似だと！？」

“猿真似”という表現にムカついたのか、八左ヱ門が普段しない様な怪訝そうな顔で吠える三郎。

『あぁもうッッ八の顔でそんなブサイクズラするな！！』

「んだとコラァ！！」

我慢ならなくなったAが再び三郎に飛びつく
一方の三郎もムキになって応戦する。

手加減なしで喧嘩し続けるものだから部屋は大荒れ

結局遅れて帰ってきた八左ヱ門に止められるまで二人は暴れ続けた。

「いい加減にしなさい！！」

大きな打撃音と八左ヱ門の怒声が響いたのは言うまでもない。

これが、彼らの日常なのである。

『いつかまじで殺す』

「ふんっ、やれるもんならやってみな」

『あ？』
「…あ？」

「あーもう。お前らやめろってば！！」