六人目の五年生はあいつの弟

根性ある奴。 ページ7

午前の授業を何とか乗り切り、朝よりも少しばかり主張が激しくなった頭痛をどうしようかと考えていた。

そんな俺の目の前に影が二つ並ぶ

兵助と勘ちゃんが朝の八同様、不安げな顔で俺を見つめていた


「A。顔色悪いけど大丈夫か？」

『うん。平気、少し寝不足なだけだよ』

「昼だってあんまり食べてなかったし、医務室行こう？」

『もう、二人とも大袈裟だなぁ〜大丈夫だって！
この通り。俺はピンピンしてる』


俺は立ち上がって体調が良い証に回って飛んで見せた
少しばかりだるさの感じる体を無理に動かすのは辛くもあったものの、やっと二人は安心した様に顔から力が抜けた


「……Aがいいならいいけどさ。あんまし無茶するなよ。今のお前、自分で思ってる以上に不調に見えるから」

『分かってるって〜

この程度で弱ってる様じゃ、三郎にも勝てないもん…ね』

「……え？」

『ううん。何でもない！

午後の授業まで時間あるし、少し出てくるわ
ちゃんと時間までには戻るから心配しないでね〜』

「あ！A！！」

「行っちゃった…」





軽快な足取りで教室を出ていくA。
止めるまもなく、残された二人は顔を見合わせる




「大丈夫に、見えたか？勘右衛門」

「なわけ。ありゃ相当辛いはずだ
根性ある奴だから、多少は持つだろうけど…」

「…。少しは頼ってくれてもいいのに」

「あいつの三郎に対する敵対心も、なんとか緩和できたらなんて思ってたけど…想像以上に根は深そうだ」

「“三郎に負けたくない”ってやつか？」

「あぁ。あの二人の関係性は一年から見てきたから今更だし、特に物申すってわけじゃないが…」

「でも俺は、無理して立ち回るあいつを見てると何だか切ない」

「俺もだよ。もし午後の授業で顔色が酷くなってたら今度こそ、引きずってでも医務室連れてこう」

「うん」

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