青の道標 (ページ35)

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あれからページ35

「ははっ、なんだかんだと言いながら

ちゃんと様になってるじゃん！傑せんせっ」

「それはこっちのセリフだよ。
君こそ昔の素行不良が見違える様じゃないか悟先生」

思ってたよりも時が過ぎるのは早かったらしく、意識して日付を見た時には傑が高専に来て早1年が経とうとしていた。

色んな困難を乗り越えて皆が皆落ち着くとこに落ち着いた

そんな時、悟の茶化しをいとも容易く交わしながら傑は当然の様に隣に立った悟を受け入れる

「でも、一番変わったのはあいつか」

そう言う悟の視線につられて同じ方を見れば

その先には、生徒に囲まれるAの姿があった。

「A先生！今日もたくさん頑張ったから
いつもの飴ちょうだい！」

「先生、私も」

「Aさん、体術の稽古つけて下さい」

「あ！割り込みするなよ伏黒恵！！」

「順番守って。吊るすよ」

『こら、喧嘩しないの！飴は逃げないし、稽古もちゃんと後でつけるから仲良くしてね』

「「はーい…」」「…はい」

『よろしい』

「なんやかんやみんなAに一番懐いちゃったね」

「……ったく、ガキ共め。

ここに五条先生という素晴らしいグッドルッキングガイがいるってのに

A〜A〜ってさ

随分と人気だこと」

「ははは、生徒に嫉妬なんて見苦しいよ？五条先生」

「…あー、やっぱバレた？」

「言いたい事があるなら言いなよ

私に用があって来たんだろ？」

「そうなんだけどさぁ

こう…いざ面と向かうとまだ少し心の準備が足りないって言うか」

「まさか君の口から心の準備なんて言葉が聞けるなんて」

「うっせぇ！大事な事なんだ
しっかりしたいじゃんかよ

こーゆーのは形からって言うし」

少し気恥ずかしさがあって、困った様に後ろ髪を掻く

傑の言う通り。傑に用があったのだ

血縁者はもう、彼しかいないから

ずっと傑の近くにいたにも関わらず、喉に突っかえて言えなかった言葉

明日こそと、後回しにして言う事を躊躇ってた言葉

まさか、昔母親の見ていた連ドラのワンシーンのセリフを言う日が来るとは

人生はやはり何が起こるかわからない

でも、覚悟は決まった。

「傑ッ」

「なに？」

意を決した様に悟は姿勢を正して穏やかに笑う傑に向き合う

最近愛用してるアイマスクも取り、その表情は真剣そのもの

「傑のお姉さん。僕に下さい」