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隠した跡 さぎりside ページ24

「〜♫」



ほんの僅かな会議なのに良いもの貰ってしまったわ


早く帰ってAちゃんと食べましょうか。





in五条家


「Aちゃん。
カステラいただいたのだけれど


おやつに一緒に食べましょう」



『…!さぎりさん、』

「あら?」




朝。二日酔いで使いものにならず絶不調だった息子のお守りを、信頼できる歳の離れた友人である彼女に任せた



術師として多忙な彼女とゆっくりできる時間はそうない

私も私で御三家の集まりや会議など、悟に変わって出席。その時手土産にカステラをもらっていて


他愛のない会話でもしながら食べようかと意気揚々で帰って来たというのに



入った客間の中央で、Aちゃんは、目元を赤くして座っていた。






「どうしたの?せっかくの美人が台無しじゃない」

『これは…その、』


持って来ていたカステラをテーブルに置いて

彼女の頬に触れる。確かに残ってる涙の跡

一体どこの誰に泣かされたのか。なんて聞くまでもない






「悟と喧嘩した?それとも……」



話の最中、ふと目についたのは彼女の鎖骨付近。

服で見えるか見えないかくらいの位置に、存在を主張するソレは、色白なAちゃんの肌によく映える




(不可抗力。は、言い訳になるかしらね)


見つけてしまったものは仕方ない


せめてもの情けで指摘せず、そっとさり気なく見て見ぬフリをして襟を正す仕草で誤魔化しつつその跡を隠した。



「悟はどこ?」

『トイレ、です』

「……はぁ」

『さぎりさん?』


「ごめんなさいAちゃん

ちょっとあの子と話があるから、少しだけ待ってて
すぐ終わらせるから、戻ったら一緒にカステラ食べましょう」

『!違くて、悟は何も』

「大丈夫。今日の会議の話をするだけだから」






柔らかな笑みを浮かべて、あくまで穏やかに

流れる様な所作でその部屋を出る。





廊下を歩いていた途中、何人かの使用人が驚いた表情を見せていたが


あいにく今の私は気にしてる余裕はなかった。



「悟」



少しして見慣れた頭を見つけ声をかける。




「え、なになに 何事?」


「話があるから、ちょっといらっしゃい」

五条家の氷花→←愛と呪い



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作者名:伊綱 | 作成日時:2023年10月2日 4時

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