・悲しみの底で ページ7
『最初から、オレをはめるための罠って事か』
「そうだ。貴様の実力は噂で聞いている
今は味方でも所詮は一時の利害関係
悪い芽は早めに摘んでおかんとな」
『この子がオレの妹と知ってて使ったのか』
「それはな偶然さ偶然
たまたまアカタケの奴らが使っていた玩具を良い値で譲ってもらったが、うちの殿が“もういらぬ”と言うから使い捨ての駒として使ったまでよ
まさかお前の妹だったとは。これは愉快愉快」
『…貴様ぁあ！！！』
頭に血が登って咄嗟に背中に刺さっていた矢を無理やり引き抜き久世に投げ打つ
だが、矢は久世には届かず背後の木に刺さり
それどころか放った刹那、視界が歪んでその場に崩れ落ちる
『……、ぁ？』
「矢には毒が塗ってある。効きが遅くせて少し焦ったがまぁいいだろう
お主、戦闘は強いが
毒には弱いのだな」
『…っ、…く、そ』
(殺してやるッ…こいつだけでも)
「おっと、違えるなよ？
妹に手を掛けたのは、紛れもないお主自身だ
恨むなら、気づかなかった自分を恨め」
ふと、もう既に動かなくなった凛を見る。
そして、急激に頭が冷えてきた
ああ。オレも…同罪か
「帰るぞ」
「しかし久世殿。トドメを刺さないのですか？」
「よい。放っておいてもじき死ぬ」
そう言って、久世はオレにトドメを刺す事なく背を向けて歩き出す
『後悔するぞ。今、ここでオレを殺さなかった事』
「「「！！？」」」
奴らは驚いていた事だろう。
振り返れば、凛の亡骸を抱えて立ち上がっているオレがいるのだから
ただ、立つのがやっとであいつを殺す余力は残ってなかった。
(悔しいが…今は引くしかない)
すぐ近くに崖。その下は川だ
『今回は見逃してやるよ。久世鴎外』
「何をよまいごとを…わしらが貴様を逃すとでも？」
『何か勘違いしているようだからもう一回言ってやる
“見逃してやる”って言ってんだよ』
お前の顔、しっかり覚えたからな。
次、会った時は…
『必ず生き残って、お前らを殺しに行く』
『せいぜい首洗って待ってろ』
そう言って、オレは真下の川へと飛び込んだ
高さなんて、微塵も気にしてなかった。
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名無し46178号(プロフ) - 面白すぎて徹夜してみました！ (2月28日 22時) (
レス) @page16 id: f99e80254f (このIDを非表示/違反報告)
伊綱(プロフ) - 空さん» 同業者様でした！コメントありがとうございます。お互い頑張りましょう！ (9月9日 13時) (レス) @page5 id: 4fcd5fb6be (このIDを非表示/違反報告)
空 - 面白いです。お互い更新頑張りましょう (9月9日 13時) (レス) id: ffd33a398f (このIDを非表示/違反報告)
伊綱(プロフ) - とーふぶさん» そう言っていただけて嬉しいですありがとうございます！！！ (9月9日 13時) (レス) id: 4fcd5fb6be (このIDを非表示/違反報告)
とーふぶ - めちゃめちゃに面白くていっきに見ちゃいました！！最高です！ (9月8日 14時) (レス) @page4 id: b0fcd58480 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：伊綱 | 作成日時：2023年9月1日 2時
