【男主】赤髪の六年生の話2【善法寺伊作】

お望み通り ページ1

なるほど、全部オレに押し付けたってわけか

“裏切り者”

確かに。尊奈門の言葉と、組頭の言葉
その二つだけ聞けばオレは立派なそれになる


ただオレから言わせて貰えば、あれは“依頼”だった
それも、タソガレドキ城城主直々の




“タソガレドキ忍者隊に紛れ込んだ裏切り者を見つけ出し始末せよ”


だから、オレが呼ばれた。
暗殺任務に明け暮れていたあの頃、オレの評判を聞きつけてわざわざ依頼して来たのだ

そうして紛れ込んだタソガレドキ忍者隊の中で、見つけたのが東堂洋介。

あの男も随分と手だれで見つけ出すのに苦労したのを覚えてる


最期に言った一言は“お前は、鬼だ”

今更な話。なんとも思ってないさ
解せんのは、その事を雑渡さんも知っている筈なのに尊奈門に語らなかった事

まぁあいつは元々東堂に懐いてたのもあるからな




『…あーあ。結局、オレを悪役にしたて上げて部下の育成の糧にしたって所か

別に良いよ。オレも、そうやってやって来たんだ
今更どうこう言うのも面倒だ』

「…！」


オレは尊奈門の至近距離に瞬時に移動して奴の首元に苦無を当てる


(なぁ、雑渡さん)



『だったらお望み通り、あんたの大事な部下


＿＿もう一度殺してやろうか』

「ひっ」



豹変したオレの殺気に尊奈門が凍りつく

その首元に突きつけた苦無に力を込める

殺せないと思う？




できるよ。数年の付き合いであろうとも




なんせオレは、“鬼”なんでね。






「待って、A！！」

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