真実と遠い記憶 竹谷side ページ38
「……そ、そんな事って」
「Aが…鉢屋の兄?」
真実を知った三郎は項垂れる。オレも突きつけられた事実に頭が追いつかない
「わしもほたるから聞かされた時は驚いた。だが、事情はもっと複雑じゃ
正確にいうと、“本物”の鷹尾Aが鉢屋の兄に当たる」
「ど、どういう事?」
「もっと単純に考えるんだ。AがAでなくて鉢屋の兄弟で…はぁ?ドユコト?」
「いや1人で何やってんの留三郎…」
「はぁ…何言ってんだお前」
「あぁ?じゃあテメェにはわかんのかよ文次郎ッ」
「やかましい!!」
「「すみません」」
混乱する面々に学園長が喝を入れる
「つまりこうじゃ…」
学園長は語った。
Aの元の生い立ちを含めて
皆の知る「鷹尾A」は実は別な人物の名前で一時的に借りた物であり、
その本物の鷹尾Aは元ははちやの分家の一つ「蜂谷家」に渡された「鉢屋家」の血族である事
そして鉢屋三郎、鉢屋ほたるの血縁者という事
「鉢屋家の事、Aは知っているのですか?」
「知らぬ筈じゃ。ほたるも三郎やAに言うつもりないと言っていたし…ただ側で見守らせて欲しいとは言われただけだったしな
ただし、何らかの偶然が線を結び事実を知っていたなら話は別じゃがな」
「確かによく姉さんは鷹尾を気にかけていました。
今日はちゃんとご飯食べれてた?とか、
大怪我したと聞いたけど、命に別状はないの?とか、
そんな、母親染みたセリフばかり」
「Aからしても、ほたるは大切な存在の1人だったんじゃよ。だからこそ、守れなかった自分が許せなかったんだろうな…」
(だから、こんな事を…)
「それにしても、何故委員長は偽名を…」
「それは、」
「人に胸張って名乗れる名前がない。そう言っていた」
「中在家先輩?」
「知っておったのか。Aの生い立ちを」
「……その片鱗を、たまたま見ただけです。その時に本人から聞きました
お前も、覚えている筈だ。竹谷」
今まで黙って事の成り行きを見守っていた中在家先輩が沈黙を破り、語る
「…っ」
話を振られた瞬間ズキッと頭が痛んだ
ずっと心の底に沈めていた記憶に触れる
昔の、記憶
“…あぁ、あぁあ…”
“ば、バケモノ!!”
“……先輩、”
“…竹谷、今夜の事は忘れるんだ。いいね”
地面に転がる数十人の骸
散らばる赤、月光で怪しく光る刀
そして__
“ごめんね。怖い思いをさせて”
そう言って涙を流す委員長
「委員長、」
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伊綱(プロフ) - 紫さん» ありがとうございますありがとうございます!!めちゃくちゃ嬉しいです頑張りますっっ (2020年12月23日 12時) (レス) id: f89eb70165 (このIDを非表示/違反報告)
紫 - この作品むっちゃ好きです。更新楽しみにしてます (2020年12月22日 3時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)
伊綱(プロフ) - 葵さん» ありがとうございます!とても嬉しいですっっ (2020年10月28日 15時) (レス) id: f89eb70165 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 面白かったです!更新楽しみにしてます! (2020年10月28日 14時) (レス) id: 1d63efc7c2 (このIDを非表示/違反報告)
伊綱(プロフ) - 猫築かなめさん» ありがとうございます!!なるべく更新できるよう頑張ります (2020年10月23日 11時) (レス) id: f89eb70165 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:伊綱 | 作成日時:2020年7月25日 13時