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きゅう。 ページ9

片目だけの視界(包帯を巻いているから)で侵入者___男性だった___を見つめた。

年は30位、躰に裂傷、弾痕有り。左足に2発、右腕に一発。引き摺るようにして歩いているのと、止血しているところを見ると大動脈に傷でも付いたのか。

どちらにせよ、此の男が敵であり倒すべき標的であることは間違いないのだけれど。





『………わたしを殺しに来たのですか』

「Yes、と云ったら如何する?」

『おや、日本語が喋れるのですね。でしたら解るでしょう?………悪いことは云いません。手を引いた方が良い。未だ間に合うやもしれません。』

「なんだ、命乞いの心算か?残念だが俺達の主は此処凡ての破壊を命じた。従って【破壊するもの】にガキの貴様も入るわけだ。残念だなあ、嗚呼残念だ………お前のような餓鬼を殺すのは俺も心が傷むぜ、多少はな」

『___そうですか。それは残念です………わたしは忠告致しましたよ』




がうん。




角度を定めて。照準が動かないようにがちがちに腕を固めて打った拳銃が火を噴いた。先程の軌道修正をしたのが見事に功を奏したらしい。

防弾ベルトに阻まれながらも吹き飛んだ男に続けて撃ち込むとじわりと黒ずみが服の上に滲み出た。………此方もそろそろ腕が限界なのでぷらりと腕を振ってみる。___ああ、痛い。腕がもげそう。





Damn it(くそったれが)!!!」

『___ッ、』







躰を床に叩きつけられて目から火花が散った。息つく暇無く喉元を締め上げられて吊り上げられ____呼吸が止まる。

目の前の男を微かに見遣ると血走らせた瞳に流れた血が酷く凄絶で居て、美しく見えた。生きようとしてももう殆ど、わたしを殺したとしても逃げ場のない此処から逃げ出せる根拠など無くても生きようとしている彼が____眩しかった。此が、此の男の本質なのだと見せられている気分であった。

………太宰さんに感化してしまったのだろうか。まあ元々おそらく此の躰は太宰さんのだから可笑しな事では無いのだけれど。

___嗚呼、此のまま逝けたのならばどんなにか楽なことだろう。

だらりと腕の力を抜いたところで___鮮血が走った。





「____無事かな?」





どさりと崩れ落ちた男を踏みつけわたしを受け止めた森さん。頸動脈をメスで一掻きしたのだろうな、というのは後で解った事であるけれど___兎に角、わたしは森さんを好きになれないだろうなとこの時はっきり思ったのだった。





(death wish*死にたがり)

じゅう。→←はち。



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Writer(プロフ) - 無さん» コメントありがとうございます、そして返信が遅れて申し訳ございません!主人公わりとのほほんなので太宰にどう被せていくか考えてるところです………上手くまとめられるように精進して行きますので宜しくお願い致します。 (2018年3月5日 2時) (レス) id: 8bb1061e6e (このIDを非表示/違反報告)
- 面白いです。主人公がこれからどう物語を動かしてくのか気になります! (2018年1月27日 0時) (レス) id: 61fbc426b8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Writer | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年10月22日 1時

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