はち。 ページ8
ぼう、と空を眺める。
森さんも、福沢さんもいない医務室。___エリス嬢も必然的に消えた、本当にひとり。ただし眠ったままの芥川くんはいるのだけれど。
医務室の外からがちり、だとかパァンだとか聞こえてくるのはヒトの生を刈り取る音だろう。先程森さんが予告した敵組織の襲撃。
___君は此処に居なさい。
言葉と同時に渡された拳銃。自らの身を守る為ならば、ためらいなく引き金を引きなさい。そう凪いだ瞳に云われて背筋が冷たく震えた。何しろわたしは未だヒトを消してはいない。
何が言いたいかと云うと、百々の詰まり、覚悟なんて持ち合わせていないということだ。何時かは___いや、十中八九ヒトを消さねばならない日が訪れるのだろうけれど。
『…………どうして【わたし】は生きているのだろう』
【彼】と似たようなことを呟いてみたところで手の中に或るのは黒光りして重いそれだ。ぱあん、なんて頭に向けたところできっとわたしは死なないのだろう。
別にわたしは【彼】みたいに死にたい訳ではない。只、何故【わたし】が生きているのかが解らないのだ。何をしたら"太宰"足り得るのか、どうしたって解らないのだ。
何故なら____わたしは【彼】ではない。
其れでも演じなければならないのだ。だってそうしなければこの〔
"太宰"がいなければ。
___嗚呼、何て荷の重い。
『死人還りで人間失格、なんて。わたしにぴったりだ』
ほわりと光る青白い光は、わたしの体から発せられていた。その光は端から見れば綺麗だろう。鬼火のようにほわりほわりと輝いている。
けれどその光はわたしにはまるで、
『(___責を果たせと、追い立てているようだ)』
……………嗚呼。理不尽だ。
ため息をついたところでガチャリとドアが空く。もう終わったのだろうか。流石にあの二人のコンビは凄いんだろうなあ、見たいとは思わないけれど。
随分と早かったですねと呼び掛けようとして___拳銃を躊躇い無く引いた。
『…………招かれざる客人ですね』
「
頬にかすった弾丸はドアの外へ。外れてしまった弾道と震える肩を誤魔化すように、にこりと笑んだ。森さん、福沢さん___取り逃がさないでくださいよ!!!
(Raid*襲撃)
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Writer(プロフ) - 無さん» コメントありがとうございます、そして返信が遅れて申し訳ございません!主人公わりとのほほんなので太宰にどう被せていくか考えてるところです………上手くまとめられるように精進して行きますので宜しくお願い致します。 (2018年3月5日 2時) (レス) id: 8bb1061e6e (このIDを非表示/違反報告)
無 - 面白いです。主人公がこれからどう物語を動かしてくのか気になります! (2018年1月27日 0時) (レス) id: 61fbc426b8 (このIDを非表示/違反報告)
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