さん。 ページ3
鎌、と云うよりは黒い刃と云うべきか。
ぬるりとそちらに視線を向ければ、小さな影。少しだけ遠くに離れた、小さな少年のだぶだぶの服。それから伸びる影のような、闇のようなモノはわたしの頸元に狙いを定めていた。闇のように黒い、大きな瞳。髪の端にだけ少し白がかった、黒い髪。
嗚呼___私は彼を知っている。
ぞろりと蠢くそれに、少しだけ眼を見開いて、眼を閉じた。もう興味なんてない、と云うかのように。
『なんだい、此処は君の縄張りかい?悪いけれど少しだけ此処を借りるよ………生憎疲れてるんだ。』
「笑止。退かぬならその頸を掻き斬るまで!!!」
『へえ……君が?うふふ、それじゃあねえ………
_____やってみ給えよ。』
「羅生門!!!……!?なッ…………、効かぬだと!?」
やれるものならだけれどね。瞳を開いてにやりと笑う。黒い刃を手で摘まむと掻き消えたそれに少年は酷く動揺しているようだった。それとも何度も何度もわたしに向けて刃を向けては霧のように消える自分の"異能力"に怯えているのか。まあ真意は彼でないからわからないけれど。
傷だらけの躰に鞭打って立ち上がる。少年の方へ寄ると怯えて尻餅をついていたから、少し可哀想かとは思ったけれど首筋を叩いて気絶させた。だってこのままだと物理的攻撃食らいそうだし。物理的攻撃にわたしは弱い。
少年の躰をざっと見ると擦り傷切り傷痣のオンパレード。おまけに発熱している。………どうしたものかなあと考えを巡らせてみるもこの装備だとどうしようもなかった。………いや手持ちはした金だけだよ無理でしょ。
『全くどうしたものかねえ。』
「おや、困っているのかい?お嬢さん。」
『!………ええ、そうなのですよ。』
ぱしゃ、と地面の
………誰なのか、よりは先ずは己の身を守らなくては。少年を抱いて腕を構えると男性は笑みを深くした。
「………そう、その行動が最適解だね。
___けれど私に仲間がいることは想定外のようだ。」
じり、と距離をとるとにこやかな笑顔と共に差し出された手。それが指差した方向からばちり、という音。スタンガンか、と思ったのはほんの一瞬。押し当てられたそれにふつりと意識は途切れた。
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Writer(プロフ) - 無さん» コメントありがとうございます、そして返信が遅れて申し訳ございません!主人公わりとのほほんなので太宰にどう被せていくか考えてるところです………上手くまとめられるように精進して行きますので宜しくお願い致します。 (2018年3月5日 2時) (レス) id: 8bb1061e6e (このIDを非表示/違反報告)
無 - 面白いです。主人公がこれからどう物語を動かしてくのか気になります! (2018年1月27日 0時) (レス) id: 61fbc426b8 (このIDを非表示/違反報告)
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