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とお あまりななつ、できることは。 ページ17

不思議そうにレシピをぱらぱらと眺める彼。その様子はわたしからみればとても素直な好青年。何処にでもいそうな普通の、というには美青年すぎるけれど。彼ときたらクールな表情と気を抜いた表情の落差(ギャップ)が激しいのだ。

………わたしも思い出したのは最近だけれど、透くん無茶してたんだなあ。トリプルフェイス(・・・・・・・・)なんて、やろうとして出来るものだろうか。人格が3つ有るようなものだし難しいに決まってる。それをこなすのだから器用には違いない。今はまだダブルフェイスなのだろうけれど。

だから料理をきちんと学んでないからあまり上手くない___平たく言えば下手なわけで、誰だって学べばそれなりに上達すると思うのだ。一緒に作ってあげられたらそれが良かったのだけれど、そうする時間ももうない。わからない以上中途半端に教えるのは一番良くないだろうから彼にこれを託そうと決めたのだ。




『………透くん、潜入が多いでしょう。その時の役に立てば、と思って。解りやすく書いてくれていると思うよ。マスター直伝の料理集だから頑張って巧くなって。』

「え、まあ………料理の腕はあまり巧くないから助かりますけど。前、僕が作った料理を振る舞ったときに言ってくれたじゃないですか、"教えてあげる"って。」




だから教えてくれるのだと思ってました、と首をかしげた透くんに静かに笑む。ごめん、という言葉を喉元寸前で飲み込んだ。約束は守ってあげられない。覚えていてくれたことは嬉しいけれど、果たせない約束の代わりに渡したレシピ(それ)は免罪符になるだろうか。

情に篤い、優しいひとだと知っている。彼の優しさが彼自身の心に何度も爪痕と傷痕を残していることも。だから彼はきっとこんなわたしがいなくなったとしても哀しんでくれると思うのだ。ただの自惚れで勘違いかもしれないけれど。




『料理の基本はそれに書いてあるからね。』

「わかりましたよ。ありがとうございます。………その代わり巧くなったかどうか判断してもらうために、食べてもらいますよ?」




今度こそ美味しい、って言わせてあげます。彼らしく自信満々に言われたそれに思わず笑う。それからごめんなさいと泣きたくなった。





ああ、たぶんその頃には。






(楽しみにしてるね、と言ったわたしに)

(勿論、と笑う彼とその空間が)

(駆け換えの無いものとして輝いていた)

(ごめん、と言えないわたしは)

(彼にまだ笑っていて欲しかったのだ)

とお あまりやっつ、華咲くそこは。→←とお あまりむっつ、その思いは。



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奏音(プロフ) - 続き気になります!次の章?も楽しみにしてます☆ (2017年6月28日 23時) (レス) id: 1c9df138c6 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - Writerさん» いえいえとんでもない!! 好きな小説の作者様に見て頂けているだけでもう感無量です…!こちらこそいつも応援しています! (2017年6月28日 15時) (レス) id: e3933b8944 (このIDを非表示/違反報告)
Writer(プロフ) - 益夷 佐々羅さん» こんにちは、コメントありがとうございます(*´ω`*)申し訳ありませんが現在次作品のほうを執筆中ですので、今しばらくお待ちくださいませ。 (2017年6月28日 10時) (レス) id: 8bb1061e6e (このIDを非表示/違反報告)
Writer(プロフ) - まいちんさん» こんにちは、コメントありがとうございます(*´ω`*)申し訳ありませんが現在次作品のほうを執筆中ですので、今しばらくお待ちくださいませ。 (2017年6月28日 10時) (レス) id: 8bb1061e6e (このIDを非表示/違反報告)
Writer(プロフ) - ゆきなさん» こんにちは、コメントありがとうございます(*´ω`*)申し訳ありませんが現在次作品のほうを執筆中ですので、今しばらくお待ちくださいませ。 (2017年6月28日 10時) (レス) id: 8bb1061e6e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Writer | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年4月28日 21時

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