お館様の尊敬する炭治郎の義理の兄はーーらしい〜其の弐〜

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鬼「兄……さん。ごめっ……ね」

そう言って鬼は1粒の涙を落として灰となった。先に鬼になったのは弟の鬼だ。その後十二鬼月になり自分の兄を鬼にしてもらった。鬼になったら記憶は消えるはずなのにこの鬼は兄のことだけは忘れなかった。特殊な鬼で鬼舞辻無惨に興味をもたれていた。だが兄も鬼になったせいか、弟の鬼の兄への気持ち以外の記憶や思いが消えてしまった。人を食べることへの関心もだ。その為十二鬼月の数字を剥奪された。哀れな鬼である。

縁「来世では幸せな兄弟でありますように」

鬼の最後の抗いか血鬼術が発動する。鬼が消えた所に蒲公英の綿毛が生えた。綿毛が飛び立ち辺りに小さな芽が出ると白い蒲公英が咲き花弁が黄色に変わって光の粒子となって空へと舞い消える。

縁「別離。私を探して、私を見つめて。真心の愛」

鬼になり己が誰だか分からない。唯一覚えている兄を求め、人を喰らう。だが兄は鬼になった弟を拒絶した。弟は拒絶されたことに怒り狂い兄を鬼にしてもらう。兄は記憶を無くし弟は兄に依存した。鬼になって幸せなど無かった。だが、最後にどちらの鬼も流した涙。彼らは……。

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