第二章 認める者達 ページ7
離れについた和泉守は、先ほどの彼らのことを思い出していた。想像がつかないような非道をされてきたであろう。彼の頭からは傷ついた彼らのことが離れない。正直今すぐにでも助けたい。でも、彼らは自分の主に対して敵対している。
少女「兼定･･･大丈夫？」
和泉守「･･･なぁ、主。オレはあいつらを助けたい。でもそのせいで主が傷つくのは見たくない。もう二度と。オレはどうしたらいい？」
少女「兼定･･･好きなように。無理強い･･･しない。兼定･･･ちゃんと･･･心･･･ある。刀剣男子･･･刀･･･心･･･ある。人間･･･自分勝手･･･ダメ。傷つく･･･ダメ。みんな･･･笑顔･･･好き」
少女は表情を変えず、いや、変えられずに和泉守の目を見て応える。すると、ガタッと襖の向こうから音がする。和泉守はすぐさま刀の手をかける。
和泉守(此処には結界が張ってあったはずだ。壊された形跡はない。てことは、結界を潜れる条件を満たしたということ。つまり……敵意がない)
少女が張った結界は敵意がないもの以外が入れないようになっている。もし入って敵意を露にしたら強制的に結界の外へ送られる。
「主、オレの後ろにいろ。･･･誰だ」
？「僕だよ。兼さん」
和泉守「国広！？」
襖を開けて入ってきたのは先ほど広間にいて唯一刀を抜かなかった、いや、抜けなかった堀川国広だ。
「何のようだ、国広」
堀川「えっと、兼さんに会いたくて。兼さんはこの本丸にはいつまでたっても来なくて。来てほしいって思っても来てほしくないって思って。どんどん頭の中がぐちゃぐちゃになって。僕はどうしたらいいかわからなくなった」
和泉守「それをいいに来たのか？」
堀川「･･･違う。そこにいる人間に聞きたいことがあって来た。貴方がさっき兼さんに向けて言った言葉は本当なの？貴方は僕たちのことを傷つけない？僕たちを助けてくれる？僕たちを笑顔にしてくれるの？」
堀川は後半泣きながら少女に問う。少女は堀川の近寄ると頭に手を伸ばす。堀川はとっさに目をつぶる。殴られる！そう思ったのだろう。だが、いつまでも痛みはこない。その代わりきたのは優しく撫でられる感触。
「え･･･」
少女「大丈夫･･･」
たった一言。小さな声で言われた一言。この一言は堀川の中で優しく広がった。堀川はこの時思った。この人についていきたいと、本能がそう言ったような気がした。少女が触れたお陰で堀川の傷はなくなった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 377人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雪 - 髭切バージョンを作って欲しい (2021年5月21日 3時) (
レス) id: b0b9678a53 (このIDを非表示/違反報告)
蝶姫(プロフ) - 楽しみに待ってました。少しずつでも構いません。完結まで楽しみにしてます。 (2020年3月2日 23時) (レス) id: 57a196c635 (このIDを非表示/違反報告)
神夜(プロフ) - ありがとうございます！！ (2020年1月11日 12時) (レス) id: d57f708b28 (このIDを非表示/違反報告)
月切 蛍(プロフ) - とっても素敵な作品です。無理しない程度に頑張ってください！ (2020年1月11日 11時) (レス) id: 34c99d5432 (このIDを非表示/違反報告)
シズク(プロフ) - 教えてくださりありがとうございます！ (2019年7月2日 14時) (レス) id: d57f708b28 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：神夜の羽織 | 作成日時：2019年6月5日 21時
