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男(脆弱な覚悟では妹を守ることも治すことも家族の仇を打つこともできない)

男は刀を禰豆子を向けると肩の当たりを突き刺した。

炭治郎「やめろーーーー!」

炭治郎が石をなげつけ斧を持って木の影に隠れながら走り出す。風で雪が舞視界を鈍くする中、炭治郎は雄叫びを上げなかがら男に迫る。

男(感情に任せた単純な攻撃……愚か!)

男は柄の部分で飛びかかってきたその背中を打ち付けて気絶させる。禰豆子は倒れ込んだ炭治郎をじっと見つめる。何かが禰豆子の中で動いた。男が炭治郎の"持っているはず"の斧がないことに気がついて、咄嗟に上を見あげると斧が回りながら迫っていた。顔をぎりぎりの所で避けると髪を掠める。

男(木の陰に隠れる直前こちらに石を投げるのと同時に上に斧を投げた。丸腰であるのを悟られないよう振りかぶった体勢で手元を隠す。俺に勝てないのがわかっていたからだ。自分が斬られた後で俺を倒そうとした。こいつは……)

禰豆子が突然男を蹴りあげた。男は急なことで判断できずに容赦なく体に食らってしまう。男が飛んで行ったのと同時に炭治郎に近付いた禰豆子に焦り出す。

男(しまった!喰われる!)

男の目がゆっくりと見開かれる。

ー禰豆子は禰豆子は違うんだ。人を喰ったりしないー

男はとあることを思い出した。この兄弟と同じように言って喰われた奴のことだ。"飢餓状態"になっている鬼は親でも兄弟でも喰べる。栄養価が高いからだ。今までそういう場面を山ほど見てきた。この娘は怪我を負わされておりそれを治すために力を消費している。鬼に変わる時もかなり体力を消費するはずだから間違いなく今は重度の飢餓状態。一刻も早く人の血肉を喰らいたかっただろうに。

男(守る動作。俺に対する威嚇。こいつらは何か違うかもしれない)

男は刀をしまって禰豆子の頸に手刀を打って気絶させた。男は近くに落ちていた禰豆子が身に付けていたであろう別の着物で禰豆子の身支度を整えると炭治郎の横に寝転がした。竹と布を使って口枷を作って口に当てる。

男(?誰かが此方に走ってくる?)

後ろを振り向いて最初に見たのは自分に迫る薙刀の刃だった。目を見開いて咄嗟に刀で応戦する。

?「貴様、僕の弟と妹に何をしているんだ?」

男「グッ!?(なんだ!この攻撃は!?)」

男は今までに無い殺気を身に受けた。自分と全く違う次元にいる強者。ねじ伏せられるのは自分だと悟った。

男「待て、勘違いしてないか?」

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作者名:神夜の羽織 | 作成日時:2020年8月9日 9時

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