第十三話 藤の花の家紋の家 ページ38
それから数日後。縁はまた炭治郎に内緒で炭治郎達のいる藤の花の家紋の家にやってきた。打ち明けてからは定期的に会わないと任務の同行者が可哀想な事になるからだ。
ひさ「鬼狩り様でございますね」
縁「はい。此処に炭治郎という鬼狩りはいますか？」
ひさ「いらっしゃいます。案内致します」
ひさの案内で炭治郎達が休む部屋に行く。案内された部屋は物凄く賑やかだった。「すみませんね」とひさに謝って襖を開ける。
縁「入るよ」
？「ぎゃあああああぁぁぁぁぁぁ！？！？」
入った瞬間に汚い高音が響いた。咄嗟に耳を塞いだ判断は正しいであろう。叫んでいるのは"我妻善逸"。雷が落ちて髪の毛が黄色になってしまった少年で今回の炭治郎の任務で一緒だった者だ。
炭治郎「うるさいぞ！善逸！……て、兄ちゃん！どうして此処にいるの？」
やって来た縁に駆け寄る炭治郎に禰豆子は縁に抱きついた。善逸は目の前で怒っていることに困惑中だ。中にはもう1人猪の被り物をしていた"嘴平伊之助"がいた。伊之助は入ってきた縁を野生の勘でかじっと見つめていた。
善逸「えっ！誰！？てか、禰豆子ちゃんに抱きつかれるなんて許さんっっ！」
炭治郎「こらっ善逸！この人は俺と禰豆子の兄ちゃんだ！」
善逸「えっ……」
まるで芸をやっているかのような2人。縁は優しい笑みを浮かべながら見ていた。善逸はまたもや困惑して気絶した。
炭治郎「善逸ーーーー！？」
それから目が覚めた善逸は咄嗟に縁に謝った。それを笑顔で許す縁。禰豆子は縁に膝枕をされながら眠っている。それを見た善逸はニヤニヤしていた。
縁「そこにいる子はなんて言うのかな？」
伊之助「……………」
先程から黙って縁をじっと見つめる伊之助。警戒をしているのか傍に来ず一定の距離を保っている。すると、
伊之助「負けた」
と言ってお腹を向けて倒れた。それは犬が負けを認める格好。だから伊之助はそれをやったのだろう。観察して分かったのだ。目の前にいるのは絶対に勝てない相手だと。
善逸「えっ、何に？」
これが普通の判断である。だが、普通とは違う縁は伊之助の何かの遊びだと勘違いをして被り物を取って頭を撫で回した。炭治郎もそれに釣られて伊之助の頭を撫でる。
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作者名：神夜の羽織 | 作成日時：2020年8月9日 9時
