STAGE～私は君を見つけます～ (ページ3)

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TEST as LIVE～ボーカリストの道～ページ3

「も...もったいないですね。あんなに皆さんの演奏が気持ちいいのに、それが正式じゃないなんて」
「でしょう？もったいないと思うでしょう！」
隣からドラムの彼がそう言い出す。
「あ、彼はMYOのドラム担当のAiKiこと相島明だ」
「AiKiです！アキって呼んで！」
アキは、手を小さく上げてそう言い出す。
「あ、はい...。アキさん」
「それと、元ボーカル担当、現ベース担当の
KaKiこと紀藤海だ」
キラは、そう言いながらカイを紹介する。
ひとつ引っかかる点があった。
「元...？元ボーカル...？」
「おまえっ...！余計なこと！」
カイは、今更気がついたのか、低い声を出しながらそう言った。
その後に突然しんどそうに咳き込み出した。
「あぁあぁ。声は出すなって言われただろう？」
そう言いながら、キラはカイの背中を摩っていた。
「あの、元ってことは、カイさんは前は歌えたってことですよね？」
「そうだ。ただまぁ、色々あってな」
ユイの質問に、キラはなにかを隠している表情でそう言った。
「そう...なんですか」
ユイは、あまり深入りしない方がいいと思い、そこで話をやめた。
「ボーカルがボーカルじゃなくなっちまったから、ボーカルがいなくなって、正式じゃなくなっちまったってわけだよ」
アキは、やれやれというようなポーズでそうつぶやいた。
「そこで、君だ！」
「え...？」
キラは、突如ユイを指さしながらそう言った。
「君に、MYOのボーカルになってほしい！」
「え...なにを言ってるんですか！私がボーカルなんて！」
ユイは、自分にはそんなことは到底できそうもないと即座に判断し、そう言った。
「おまえの...うっ...歌が...ゴホッ...」
「あぁだから無理すんなって！」
カイは、途切れ途切れに言い、等々喋ることを諦め、携帯を取り出す。
そして、次の文を打ち始めた。
『お前の歌がいいんだ。お前の声がいいんだ。』
カイは、その文を打ち終えた後、ユイに見せた。
「え...私の歌が？声が？」
「カイがあなたの歌を気に入ってしまったんですよ。だから、あなたにお願いしたくて」
「私の歌を...気に入った？」
今まで自分の歌を気に入ったなどと言われたことはなく、その言葉に心が動いたのか、ユイは大きく口を開けて、笑い出した。

「私やります！気に入っていただけたのならやります！」

「そうか、ならよかった。では今日の放課後、5時頃に駅の西口に来てください。それじゃあ」
キラはそう言い残して、去っていった。
2人もそれに続いて、歩いていった。