STAGE～私は君を見つけます～ (ページ2)

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学園LIVE～気持ちいい歌声～ページ2

ステージ上にいる男達は、お互いに顔を見合わせ、うなづいた。
そして、1人のベース担当がもう１度引き始める。
2番の手前の間奏。
すると、もう1人のベース担当はステージから降り、ゆっくりとユイの元へ歩み始める。
ユイは、その彼をびっくりした表情で眺めている。
すると、彼は思いきりユイの腕を掴んで、ステージまで引っ張る。
「え、ちょ...」
ステージまでユイを上げた彼は、ユイをマイクの前まで押し出した。
そして、ベースの位置まで戻っていく。
その時にはちょうど、間奏が終わる寸前になっていた。
ユイは、目前にいるステージを見る人々に怯えながらも、『RYTHEM in OUT』の続きを歌い始める。
『一人屋上で伸ばす空に向けて』
ユイは、マイクを無視して大声で歌っている。
その歌を聴いた観客は、引き込まれたように騒ぎ始める。
『すべてを捧げて残酷に』
この歌を歌うと、とても気持ちがいい。
全てを忘れられる感覚。嫌なことの全てを。
歌詞もメロディーも全てが良い...。
『きみのためだけうたえ』
そこまで歌いきったユイの体が、1度大きく揺れた。大きく心臓が動いた。
その影響から、続きを歌いたくても声が出ない。
演奏だけが、どんどん続いていく。
「どうしたんだ？」「歌詞が飛んだのか？」
そう言った観客を他所に、彼らは演奏を続けている。
ユイは、どうにかして落ち着かせて一度深呼吸をした。
『叫んでいて歌を』
ユイは、途中から最後までをきちんと歌い終えた。
ハイスクールが終わったところで、ユイや彼らに当てられていたライトが全て消えた。
終わりの合図だろう。
「裏に行くよ、マイクスタンド持って」
左側にいたベース担当の彼は、そうユイに告げて、裏へ戻っていった。
ユイも急いでマイクスタンドを持って裏に向かう。
深呼吸する暇もないまま、4人は舞台裏を出た。
「あの...」
ユイは、彼らに聞きたいことがあるのだが、息が切れてうまく口から出せない。
「お疲れ様」
ドラムを担当していた男が突然そう声をかけてきた。
「上手でしたよ」
次にさっき声をかけたベース担当の彼がニコニコと笑いながらそう言った。
「僕たちは、軽音楽部のバントをしている「MAINS YOU OFF」略して「MYO」と申します。僕はリーダーのYaKiこと、矢逸希羅と申します」
ヤキは、聞き覚えのないバンド名と、自分の名を淡々と告げた。
「MYO...？バンドですか...？」
「まだ正式なバンドではありません。なにせ、僕たちにはボーカルがいませんので」