君の笑顔が見たかった[伊東鴨太郎] その3

第117話 ページ21

あの一件が落ち着いてから、俺たちは土方を伴ってだんご屋に来ていた。どうやら、あの後土方は神社や仏閣を訪ねてはみたものの、刀がついぞ身体から離れることはなかったという。

真選組への復帰を心配する新八と、転職を勧める神楽。その二人の言葉をよそに、土方はだんごに自前のマヨネーズを大量にかけている。

銀時「けっこうなことじゃねぇの? 身体から離れねぇ妖刀。まさしく剣身一体ってわけだ。てめぇにおあつらえの剣じゃねぇか。」

　マヨネーズがのっただんごを食べてしまったらしく、神楽が嘔吐する。その背中をさすっていると、「軽く言ってくれるぜ」と言いながら、土方が立ち上がったらしい。

新八「土方さん、どこ行くんですか?」

土方「決まってんだろ。」

　言い、土方はだんごを食べながらてくてくと歩いて行く。

土方「俺の身体はとうの昔に霊やら祟りやらで定員オーバーさ。今まで踏み越えてきた敵や、仲間達の怨念でな。間違っても極楽なんぞには行けまい。今さら呪いの1つや2つ増えたところで何も変わらねぇ。誰が死のうが振り返るつもりもねぇ。全部背負って前に進むだけだ。地獄で奴らに笑われねぇようにな。」

　土方の姿が見えなくなったところで、神楽がギャラをもらい忘れたことに気がついた。

銀時「いいんだよ、一気にもらうより、一生ちびちびたかったほうが楽だろ。」

新八「ハハッ。でも、大丈夫ですかね。ちゃんと働いていけるかな。」

銀時「大丈夫さ。もう心配いらねぇよ。」

　依頼終了の瞬間である。

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