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「あ、紫耀…」
「おう。ちょっとは寝れた?」
「あぁ、うん、だいぶ。
今朝は…あの……ありがとう…」
「別に礼言われるようなことしてねーし。
てかこっちこそAのこと色々ありがとうだわ!
マジで助かった。ありがとな。」
俺のすぐ後に入って来た紫耀は、あれだけ門限やなんや言うてたのが嘘みたいに、余裕のあるカッコええ兄貴の顔するからズルい。
「病院行ったんやんな?どうやった?」
俺はAから返信がないってだけで、やきもきしてるのに。
「ん?風邪、風邪。なんか夏風邪流行ってるんだって。」
「へー、そうなんや。ご飯は?なんか食べれた?」
ホンマはこういうの、本人に直接聞きたい。
「一応お粥作ったけど、ちょっとしか食べてなかった。」
連絡してって言ったのにな…
まぁ別に何時までにとか細かいこと決めたわけじゃないからえんやけど…
「ご飯食べた後は?ちゃんと休んでた?」
「それが病院すげー混んでて家着いたの昼前でさ、お粥食べさせた後ベッドまで付き添ってすぐ出てきた。」
なるほど。
てことは、やっぱり今は寝てる可能性が高い。
そら既読にもならへんわな、うん。
でもその前に "病院混んでた〜" とか "夏風邪だったよ" とか、そういうの一言送ってくれてもええのになぁ…
なんて思いながら「ふーん…」と気の無い返事をすると、
「てかお前、んなのAに直接聞けよ!」
ごもっともな指摘を受けてしまった。
そら俺もそうしたいわ!
彼氏と彼女になったわけやし?
もっと密に連絡取り合いたい。
毎日何十回もとは言わへんで?
俺文章考えるの苦手やし。
でもこういう時は別やん!彼氏としてやっぱちゃんと状況把握しときたい。
欲を言えば、Aが誰とどこで何してるかなるべく知っときたい。
やのに、
やのにお前の妹、全然連絡くれへんのやもん!
「いや、ラインしたけど返って来ぉへんねん!」
「あー、じゃ寝てんだよ。いいじゃん、よく寝た方が早く治りそうだし。」
でも紫耀にそう軽くあしらわれて、まぁそれもそうやなと思い、気を取り直して仕事に集中できたけど、
結局、陽が傾き始めてもまだ、君からの返信はないままやった。
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作者名:P | 作成日時:2018年9月19日 22時