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待ち時間、もう一度君とのトークルームを開く。
車の中で俺が送ったメッセージにはいつのまにか既読の文字が付いている。
やけど、返事はないまま。
もしかしてAって、連絡不精?
それか連絡もできひんくらい具合悪い?
気になって電話してみたけど、呼び出し音が続くだけ。
「なぁ紫耀、Aと全然連絡とれんのやけど…倒れてるとかじゃないよな?」
「へ?どゆこと?」
「やからー、仕事の前にラインしたけど返ってこんし電話も出えへんねん。」
それを聞いてすぐにポケットから携帯を取り出し、Aに電話をかける紫耀。
「本当だ…出ない…」
「やろ?まぁ既読になってるから大丈夫と思」
「あ!」
今度は突然俺の言葉を遮ったかと思うと、そう言ってしばらく画面を見つめ、思いっきり顔をしかめた。
俺はその視線の先が気になって、身を乗り出して机の向かい側に座る紫耀の携帯を覗く。
"代わり見つからないから、バイト行ってくる。"
見えたのは約3時間前に送られているAからの目を疑うような一文。
俺は思わず大声を出してしまった。
「はぁっ?!まだ熱あるのにバイト行ってるってこと?!」
「声でけーよ…」
「だってまだ病み上がってもないんやで?!」
「だよなぁ…もー…ちゃんと寝てなよって言ったのになぁ…」
俺も!
俺もちゃんと家で寝とくんやでって言った!
連絡してって言ったのにしてこんし、そのうえバイト行くとか何してんねん。
しかも紫耀には連絡して俺には何もないとかありえへん。
ありえへん、ありえへんっ!
俺ら付き合ってるのに!!
「ちょっと俺行ってくるわ…」
「は?どこに?」
「Aんとこ。」
「いや、お前まだ撮影あるじゃん。」
「俺順番最後やから。どうせ1時間は待ちやろ?じゅーぶん行って帰って来れる。」
「でも…」
「大丈夫やって!朝紫耀に言われたこと、ちゃんと理解してる。
やから限られた範囲ではあるけど、でも俺、その中でとことんAに尽くしたいねん。彼奴は…とことん想われなアカン。
これでもかってくらい想って気持ち伝えな、自分のこと大事にせえへん気がすんねん。」
俺が真っ直ぐに目を見てそう話すと、
「わかった。でも絶対撮影に遅れんなよ?」
紫耀はそう言って俺にマスクを渡してくれた。
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作者名:P | 作成日時:2018年9月19日 22時