◯和解 ページ27
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入ったのは行きつけとなりつつある、心地のいい居酒屋。
おしゃれなお店だと変に肩に力が入って、ちゃんと話せない気がして。
普段座る角の仕切られた空間に案内してもらう。
阿部も注文が決まり、店員さんに伝えれば、気まずい空気が流れる。
言わなきゃっていう焦りで、少しだけ手が震える。
阿「なんかあった?」
普段、メンバーといるときとは違う優しい声にドキッとする。
『どうしても、阿部に言わなきゃって思って』
失礼しまーすという店員さんの声によって、続きは遮られた。
お酒とテーブルに並ぶ焼き鳥やおつまみたちを見て、タイミング!と心の中で舌打ち。
乾杯、なんてガラスのグラスをぶつけ合った。
阿「俺も言いたいことある」
『え?』
お酒を一口飲んだ彼からそんなことを言われた。
阿「俺、Aとちゃんと和解したい」
『っ...!』
先に言われた悔しさと、同じように思ってくれていた嬉しさ。
『わ、私もおんなじこと言おうとして、今日誘いました...』
なんだか恥ずかしくなって、敬語になっていく私を見て、ケラケラと笑った目の前に座る彼。
阿「ごめんね。謝らなくて」
『こちらこそごめんなさい。ずっとダラダラ引きずって』
阿「俺、Aに嫌われたって思ってた」
『いや、私だって!』
前みたいに楽しく話せることに幸せだなぁと思ってきて、自然と笑顔になる。
阿「ほんと、ショックだったんだけど」
『いや、ごめんて...。
でも、阿部が謝ってくれなかったの嫌だったからね?』
阿「あー、それはごめん」
『いや、私も冷静になればよかった話だからさ』
ごめん。なんて2人で言い合う。
『でも、話せて良かった』
阿「でももうちょっと不仲やってもいい気がするけどね」
『うわ、計画犯じゃん』
阿「ダメ?」
『ねぇ、あざとい!』
阿「俺からしたらA他の人と距離近くて嫉妬してるけどね」
『なんか言った?』
阿「あ、いや、なんでもない。てか、阿部ってやめてよ」
『あー。でも、阿部の方が落ち着く!』
阿「じゃ、2人っきりの時は前みたいに名前で呼んでよ」
『まあ、2人っきりなら...』
阿「ふふっ、約束ね」
可愛く笑う彼にキュンとしたのは秘密。
◇
これからはちゃんと仲良くします
◇
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