噂によると不仲らしい (ページ29)

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◯繰り返すページ29

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『はぁ！？なんで食べたの！』

渡「お前のってわかんなかったんだって」

『ありえん。朝から楽しみだって言ってたじゃん』

先程、スタッフさんからもらったお菓子を撮影終わりに食べようと楽しみにしていたのに...。

まーた、渡辺が食べやがった。

ソファに1人小さく丸まって、顔を埋める。

渡辺のバーカなんて心の中で思いながら。

そんな落ち込む私の肩を叩いたのは意外な人物。

阿「あげる」

彼が差し出してくれたのは、さっき渡辺に食べられたお菓子。

まさか声をかけられるとは思わず、びっくりして彼を見つめてしまう。

一瞬フリーズしたものの、慌てて言葉を紡ぐ。

『でも、阿部の分は？』

阿「好きじゃん。それ」

ほぼ強制的に渡されたお菓子を指差しながらそう言う彼。

『え、いや、うん。そうなんだけど...』

なかなか言葉が出ないのは罪悪感に駆られているから。

きっと、今の私は言葉を探して、目が泳いでいるはずだ。

阿「俺のことはいいから」

『あ、ありがと』

感謝を伝えれば、さっきまで座っていた椅子へ戻り、スマホをいじる彼。

昔からわたし用のお菓子を翔太が食べて、持ってたら阿部が譲ってくれたっけ。

そんな思い出を思い出したら、くすぐったい気持ちになる。

そんなことを思いながら、封を開けてお菓子をほうばった。

◇

彼はわざと食べたのかもしれない

◇