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「相変わらず手荒な歓迎だねぇ……立花くん」
「いやぁAさんでしたか。すいません、何処ぞやの曲者かと思いまして」
洞窟内から出てきた立花は、言葉では謝っているが顔からは全くそのような思いを感じない。代わりに黒いなにかを感じさせる。
「立花くんもしかして怒って『おい!何処ぞやの曲者ってまさか組頭のことじゃないだろうな!?』……ん?」
Aの言葉を遮って何者かが洞窟内から勢いよく飛び出してきた。そして立花に詰め寄ったのだが、
「諸泉さん、違いますよ」
「うぐっ……」
ものすごい良い笑顔で否定されて後ずさった。彼がこの笑顔に負けたのは本日2度目である。
「いきなり仙蔵が走って行ったと思ったがやっぱりAさんだったか!」
「Aさん!!何処行ってたんですか!?」
「怪我はしていませんか!?」
そしてそれを皮切りにぞろぞろと洞窟内から人が出てくる。その顔ぶれはどれも見たことがある者達で、Aは当たって砕けずに済んだと安心した。
「高台の方を捜索していた。怪我はない。心配感謝する。」
だが聞かれたことに対して端的に答えると、改めて警戒心を高めた。
「で、この方はどちらさん?」
「あ!この方はタソガレドキ忍軍の諸泉尊奈門さんです!」
「は?タソガレドキ?」
「っ!?」
Aの問いに答えた伊作は、彼女から返ってきた低い声に息を呑んだ。それはこの場にいた他の者も同じで、ピリッとした空気が辺りを包む。
「か、彼はタソガレドキだが味方だ!」
その空気を壊したのは土井。彼はAの雰囲気が以前自身と一戦交えたときに酷似していると感じていた。
(このままだと諸泉くんが危ない……!!)
土井はAと尊奈門が一悶着を起こすのではないかと危惧していた。そしてもしそうなった場合、軍配はAに上がると確信していた。だから心配なのはAではなく尊奈門だった。
「ど、土井半助の言う通り今は味方だ!だが攻撃してくるのならそれ相応の対応はさせてもらうぞ!?」
「……わかった。土井先生の言葉を信じよう」
「は!?私の言葉は信じないのか!?」
「だって初対面だし。てかどっち信じても結局同じだろ?」
「そうだがなんか悔しい!!」
「はっ!タソガレドキと聞いて警戒したが随分子供だな」
「何を!?」
ぎゃーぎゃー言い合うAと尊奈門。やはり一悶着起こったが予想とは少し違った形だったので土井は安堵した。
だが胃は痛かった。
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レオン(プロフ) - 零さん» コメントありがとうございます。続きを更新しました!続編にてご覧ください。 (2022年8月3日 15時) (レス) id: bc25bf8dca (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 続きが速く見たいです (2022年7月30日 14時) (レス) @page47 id: 730adcd2c0 (このIDを非表示/違反報告)
レオン(プロフ) - 小桜さん» コメントありがとうございます!更新を喜んでいただけて嬉しいです!これからも頑張ります!!またご指摘もありがとうございます。訂正いたしました! (2022年7月5日 21時) (レス) id: fc3a292471 (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - 更新嬉しいですー! 29-6の夢主さんの説明のところ「高いく」は「高く」ではないでしょうか? 一応お伝えしときます。これからも無理のない範囲で頑張って下さい! (2022年7月5日 16時) (レス) @page34 id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
レオン(プロフ) - マイさん» コメント、そして応援ありがとうございます!面白い、好みと言っていただけてとても嬉しいです!!これからも頑張りますのでお楽しみいただければ幸いです! (2022年7月3日 10時) (レス) id: fc3a292471 (このIDを非表示/違反報告)
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