【忍たま】姉は弟になかなか会えない 5

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雑渡が『垂れ目のフリーの忍者』と聞いて1番に思い浮かべたのは、ひと月前に忍軍に入りタソガレドキに永住することにした者だった。だがあれはどう見ても男だった。伏木蔵の姉であるわけがない。

次に思い出したのは近々手を下そうと思っている者のこと。だがあれもどう見ても男だった。

次は……と思いだそうとした雑渡だったが、その『次』が出る事はなかった。つまりこの2人以外で覚えている垂れ目のフリーの忍者はいなかったと言う事である。


そもそもこの2人を覚えていたのもただの偶然だった。1人目は正式に味方になったので自然と覚えただけだし、2人目は次の標的なので忘れるわけにはいかないだけなのだ。なお、消した者は忘れる主義なので2人目はのちに忘れられることが決定している。


雑渡はイラついた。どうして覚える価値がないなんて言って記憶から消したんだ。『消した者は忘れる主義』を掲げ始めた当時の自分をぶん殴りたくなった。


ああ、こういう時こそあの子(・・・)に会いたい。あの嫌そうな顔をしつつ、なんだかんだ相手をしてくれる優しいあの子に会いたい。癒されたい。


情緒不安定な雑渡は集中するために顔を覆っていた自身の手を退かした。すると、心配そうにこちらを見る伏木蔵と目があった。


「粉もんさん、大丈夫ですか？」
『雑渡、大丈夫か？』

「あ」


一瞬、伏木蔵とあの子が重なった。

そうだ、あの子もフリーの忍者。そして垂れ目だったじゃないか。


「……ねえ伏木蔵くん。お姉さんの名前って、A？」

「！そうです！！粉もんさん、お姉ちゃんと知り合いなんですか！？すっごいスリルゥ〜！！」


よかった、私は彼の姉を消していないようだ。

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