【忍たま】姉は弟になかなか会えない 5

28-7 〈雑渡昆奈門の新しい玩具〉 ページ24

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それはとある任務の帰りだった。暗い山の中を通っていると話し声が聞こえた。

一瞬、私に向けられた追手かと思ったが、先程の任務ではその場に居た全員を殲滅させたのでそれはないと判断した。

だけど何となく誰が話しているのか気になり確認することにした。


木の上を飛んで向かった先にいたのは、私と同業者が2人。どうやら揉めているようだった。


「まさか貴様、ヨイヤミ城に唯一残ったくの一か？」

「やっぱり知ってるじゃないか！」


「……あの子女の子だったんだ」


どちらも男だと思っていたが漆黒の装束の方は女の子だった。

いやぁ最近は女の子でも背が高い子いるよねぇ。間違えるなんて私もまだまだかなぁなんて、ちょっとおじさんくさいことを考えているうちに男が女の子に腕を刺されていた。


「わーあの苦無錆びてるし刃こぼれもしているじゃん。そんな物騒な物使うなんてあの子やるねぇ」


苦無然り、刃物は良く研いである方が切れ味は良いに決まっている。だが殺傷能力に関しては錆びていたり欠けていた方が高い。

何故ならその方が傷口が歪み痛みが倍増するからだ。

綺麗に研がれた刃物の場合、スッパリと切れるので傷口も綺麗だ。逆に研がれていない刃物の場合、切れ味が悪いのでスッパリとは切れず傷口はガタガタになる。

まあどちらも痛いことに変わりはないのだが、包丁で手を切るより紙で手を切った方が痛いだろう？それは紙の端は真っ直ぐに見えて実はギザギザしているから。

つまりまあそういうことよ。

しかも加えて錆びついているときた。錆びた刃物で切られたらもちろんその錆は傷口に付着する。錆びなんて綺麗な物じゃないんだから、毒が塗ってある刃物で切られたのとあまり変わらない。


「あの子、それをわかった上で錆びた苦無を使っているのか、それとも管理がズボラなだけか」


どちらにせよ興味が湧いた。


煙玉を投げて逃走した男を、血の痕を目印に追いかける女の子を追いかけながら私は口角を上げた。

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