25-5 〈別の洞窟内〉 ページ6
.
所変わって、ここは氾濫した川からもAがいる高台からも離れた洞窟。
「あのぉ〜何で粉もんさんはここにいるんですか?」
「だから昆奈門ね」
中にいるのは伏木蔵と彼を助けた雑渡昆奈門である。雑渡は焚き火を前に珍しく胡座をかいており、その上には伏木蔵が座っていた。
「我がタソガレドキ忍軍は今夜裏々山で夜間訓練をしていたんだ」
「お〜!スリリングゥ〜!」
伏木蔵は何かを期待するようなキラキラとした目で雑渡を見上げた。雑渡はそれに応えるように話を続けた。
「その訓練が終わったときどこからか笛の音が聞こえてね」
「笛の音ですか?」
「そう、ピーッという甲高い音で森中に響き渡っていた」
その甲高く森中に響き渡った笛の音は、伏木蔵捜索隊が持つ緊急事態用の笛の音であり、Aの指示で久々知が吹いたものだった。
「あー!!その音なら僕も聴きました!何の音かなって気になっていたんです!」
「伏木蔵くんにも聞こえていたか。私もその音の正体が気になって発信源を探していたんだけど……」
「発信源不明の笛の音……ん〜ミステリー!!」
「代わりにキミを見つけたんだ」
「え?」
雑渡は聞こえた笛の音の発信源を探すべく、訓練が終わると突然森の奥へと駆け出した。もう一度言おう『突然』駆け出したのだ。
そう、尊奈門が撒かれた原因である。
ちなみに、撒いたのは尊奈門が訓練終わりで疲れていると思い『着いてこなくて良いぞ』という意味を込めた
そんなことは知らない雑渡はある程度行ったところで、発信源ではなくポテポテと歩く伏木蔵を見つけたのだ。
「何で小雨が降る夜の森にキミがひとりでいるのか不思議でね。忍術学園で何かあったのかと思ったが制服も着ていないし、これは一体どうしたものかと気にになっちゃって後を付けていたんだ」
「そうだったんですか!え〜ってことはあのとき歌っていた鼻歌が聞かれていたということですか!?うわぁ恥ずかしい!!」
「……いや、鼻歌は聞いていない。でも増水している川に近づくのは見ていたよ。あれは良くなかったんじゃない?」
「それは僕もそう思っています……」
160人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
レオン(プロフ) - 零さん» コメントありがとうございます。続きを更新しました!続編にてご覧ください。 (2022年8月3日 15時) (レス) id: bc25bf8dca (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 続きが速く見たいです (2022年7月30日 14時) (レス) @page47 id: 730adcd2c0 (このIDを非表示/違反報告)
レオン(プロフ) - 小桜さん» コメントありがとうございます!更新を喜んでいただけて嬉しいです!これからも頑張ります!!またご指摘もありがとうございます。訂正いたしました! (2022年7月5日 21時) (レス) id: fc3a292471 (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - 更新嬉しいですー! 29-6の夢主さんの説明のところ「高いく」は「高く」ではないでしょうか? 一応お伝えしときます。これからも無理のない範囲で頑張って下さい! (2022年7月5日 16時) (レス) @page34 id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
レオン(プロフ) - マイさん» コメント、そして応援ありがとうございます!面白い、好みと言っていただけてとても嬉しいです!!これからも頑張りますのでお楽しみいただければ幸いです! (2022年7月3日 10時) (レス) id: fc3a292471 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ