29:茶番のち推理 ページ28
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「おーい尊奈もーん?戻ってこーい」
しばらく雑渡との運命(笑)的な出会いを思い出していたのだが、それが終わった今もなお尊奈門は私の目の前でフリーズしたままだった。
私はそんな彼の肩を掴みガクガク揺らす。魂を呼び戻そうと挑戦中ってところかな。ほら、私って優しいからさ!
「……だぁ!!揺らすなバカ!!」
「あ?」
「ひぃ!!」
せっかく助けてやったというのにバカとはなんだね。バカとは!!お陰でまたドスを効かせた声が出ちゃったではないか!!
というか復活後の第一声から罵倒してくるなんてどういう教育を受けたていたんだ?あ、もしかして雑渡が教育した感じ?
じゃあ仕方ないか!!アイツそういう奴だし!!!
「てか『ひぃ!!』なんて悲鳴誰があげたのさ」
先程の予想より低くて自分でもびっくりした声を真正面から浴びた尊奈門は、2度目のドスが効いた声に驚きつつも悲鳴は上げなかった。偉いね。
でも確かに悲鳴は聞こえた。
「もしかして……」
私の後ろには学園の人達がいたよなぁと振り向けば、肩を寄せ合い小刻みに揺れている五年生と、唖然とした顔をした六年生と、何度も見た呆れ顔をする先生がいた。
んーこの感じだと悲鳴は五年生のものかな?
「いやぁお見苦しいものを見せてしまったね!」
彼らは何ひとつ悪くないのに申し訳ないと思いにっこり笑って謝罪したのだが、
「いやぁあああ怖い!!」
「声も怖いけど笑顔がやばい!!」
「目の奥が死んでる!!!」
「すいませんすいません何も見てないです!!」
「どうかお命だけは……!!」
え、酷すぎん?私めっちゃ笑顔ですけど?
ていうか数名わざとだろ。笑ってるのバレてるからな?
謝ったのが馬鹿馬鹿しくなりもう一度怒鳴ってやろうかと思ったが、それより先に私じゃない怒号が洞窟内に響き渡った。
「いつまで茶番をしているつもりだー!!!」
「伏木蔵を探しに行くんだろ!?」
山田先生と土井先生のものである。
この声に五年生も六年生もビシッと姿勢を正しはいっ!と良い返事をした。それに尊奈門も釣られていた。ウケる。
私はやはり先生という者はすごいなーと感心していた。すると私の元にふたりが来て、
「A、女の子がそんな声出すんじゃないぞ?」
「雑渡と何かあったんだろうけど、いつでも相談乗るからな?」
ですって。
え、何、このふたりは私の親だった?実の親より親っぽいぞ?山田パパと土井ママってか?
……アリだな。
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レオン(プロフ) - 零さん» コメントありがとうございます。続きを更新しました!続編にてご覧ください。 (2022年8月3日 15時) (レス) id: bc25bf8dca (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 続きが速く見たいです (2022年7月30日 14時) (レス) @page47 id: 730adcd2c0 (このIDを非表示/違反報告)
レオン(プロフ) - 小桜さん» コメントありがとうございます!更新を喜んでいただけて嬉しいです!これからも頑張ります!!またご指摘もありがとうございます。訂正いたしました! (2022年7月5日 21時) (レス) id: fc3a292471 (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - 更新嬉しいですー! 29-6の夢主さんの説明のところ「高いく」は「高く」ではないでしょうか? 一応お伝えしときます。これからも無理のない範囲で頑張って下さい! (2022年7月5日 16時) (レス) @page34 id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
レオン(プロフ) - マイさん» コメント、そして応援ありがとうございます!面白い、好みと言っていただけてとても嬉しいです!!これからも頑張りますのでお楽しみいただければ幸いです! (2022年7月3日 10時) (レス) id: fc3a292471 (このIDを非表示/違反報告)
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