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_____2年前、7月某日 夜
どんよりとした雲が空を覆う紛れもない闇夜であったその日、フリーの忍者として長期任務についていたAは珍しく『忍者らしい』仕事をしていた。
事の発端は数日前。
Aが長期任務として勤めている城があるヨイヤミ領地は相変わらず平和だった。だが、微風が草木を揺らす長閑な昼間、大きな声がヨイヤミ城内に響き渡った。
「A〜!!!一大事じゃ!!」
「……もぉ〜何なの
スパンっとAの部屋の襖を開けて入って来たのは還暦を過ぎた『朔ちゃん』と呼ばれる男性。
「仮にも雇い主にその口の聞き方はどうなんじゃ!!クビにするぞ!?」
「え〜朔ちゃんが気楽で良いって言ったんじゃん。それに私としては別に今すぐ辞めても良いんだけど?」
そう言い切るAは、突然の上司の登場に驚きもしないどころか畳に寝そべって煎餅を齧りながらペラリと本を捲る。
「な!?」
「だって私ってそこそこ実力があるからここ辞めてもすぐ次見つかるだろうし。てか困るのは朔ちゃんの方じゃない?私以外に雇った忍者、全員辞めたでしょ?」
「辞めないでくださいお願いします」
完璧に舐め腐った態度を取られた雇い主兼ヨイヤミ領主であり城主の
「あらまあ、朔ちゃんまた髪薄くなった?頭皮が良く見えるぞ?」
「何!?それは本当か!?……南蛮から新しい育毛剤でも取り寄せた方が良いかのぉ」
「育てる髪が無いんだから発毛剤にしなきゃダメでしょ」
「無くないわ!!薄いだけじゃ!!ってちがーう!!!」
土下座したことにより、寝そべるAに自身の薄くなった頭頂部を見せつけることになってしまった朔夜は、話が逸れていることに気づいてまたもや叫んだ。
「もーだからうるさいってばー」
「わしの頭頂部事情は今はいいんじゃ!!それより一大事が起きたんじゃよ!!」
「……その頭部よりやばいことだって?」
「そうじゃ!……え、わしの頭頂部ってそんなにやばいの?」
ペタペタと頭頂部を触ってみると確かに髪というより肌に触れている感が強い。触った後の手には短い抜け毛が付いているし、これは本気で育毛に力を入れねばならないのかもしれない。
朔夜は後で発毛剤について調べようと決意した。
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レオン(プロフ) - 零さん» コメントありがとうございます。続きを更新しました!続編にてご覧ください。 (2022年8月3日 15時) (レス) id: bc25bf8dca (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 続きが速く見たいです (2022年7月30日 14時) (レス) @page47 id: 730adcd2c0 (このIDを非表示/違反報告)
レオン(プロフ) - 小桜さん» コメントありがとうございます!更新を喜んでいただけて嬉しいです!これからも頑張ります!!またご指摘もありがとうございます。訂正いたしました! (2022年7月5日 21時) (レス) id: fc3a292471 (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - 更新嬉しいですー! 29-6の夢主さんの説明のところ「高いく」は「高く」ではないでしょうか? 一応お伝えしときます。これからも無理のない範囲で頑張って下さい! (2022年7月5日 16時) (レス) @page34 id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
レオン(プロフ) - マイさん» コメント、そして応援ありがとうございます!面白い、好みと言っていただけてとても嬉しいです!!これからも頑張りますのでお楽しみいただければ幸いです! (2022年7月3日 10時) (レス) id: fc3a292471 (このIDを非表示/違反報告)
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