【忍たま】姉は弟になかなか会えない 3 (ページ32)

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「あったー！！！！」

伏木蔵は思わず叫んだ。

伊作と離れて薬草を探すこと十数分。
目当ての薬草かもしれないと目に映る楕円の葉っぱに片っ端から近づいては確認し、そして違って落胆するというのを何度か繰り返した。そして漸く発見したのだ。

「しかもいっぱいあるぅ〜！！これは伊作先輩に報告しなきゃだ！！」

その前にプチプチと何枚か葉を丁寧に摘む。
万が一、自分の勘違いでこれが違う葉だったら困るので先輩を呼ぶ前に見せて確認してもらおうというわけだ。

「とりあえず数枚で良いよね〜……ところでここどこだろう？」

気づけば伏木蔵の周辺には大きな木々が茂っており、先程まで彼がいた場所と違うのは一目瞭然だった。
来た道を戻れば良いやと思っていたのだが、薬草探しに夢中になりすぎてぐるぐる回ってしまいどっちから来たのかわからない。

「もしかして迷子？……ん〜スリルとサスペンスゥ〜！！」

だが当の本人は全く気にしていなかった。寧ろこの状況を楽しんでいた。

それもそのはず。ぶっちゃけ伏木蔵にとって薬草を見つけられたことより、このようなスリルとサスペンスな状況になったことの方が嬉しいのだ。だから慌てることもなければ怖いと泣くこともなかった。

そんな伏木蔵だが、勿論一緒に森に来ている先輩を忘れたわけではない。

「あ、でも伊作先輩は探してくれているかも……」

先輩に声をかけずに来てしまったことを少し後悔した。そして早く戻ってそのことを謝ろうと思った。心配をかけてしまったかもしれないが、薬草が手に入ったのできっと笑って許してくれるだろう。

伏木蔵は多分こっちだろうと思う方に足を進めた。徐々に雲行きが怪しくなっていた。

「こっちじゃなかったかなぁ〜」

いくら進んでも低木があったあの場所には辿り着かない。伊作もいない。

どうやら伏木蔵は進むべき道を間違えたようだった。仕方がないので戻ろうと踵を返した。

そのときだった。

突然、辺りが暗くなりゴロゴロという音が響いた。驚いて空を見上げるとザァーザァーと激しい音をたてながら雨が降ってきた。

「わぁっ！！！」

突然の出来事に伏木蔵は声を出して驚いた。

急いで雨宿りしなくては。確かここまで来る途中に洞窟があったはずだ。そこに行こう。

一気にぬかるんだ地面を蹴って伏木蔵は洞窟へと向かった。

バシャバシャと音が鳴る。肌に張り付いた服が気持ち悪かった。