【忍たま】姉は弟になかなか会えない 3 (ページ26)

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18：裏々山のお話ページ26

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まだA達が夢の中にいた時刻のこと。
太陽は燦々と輝き、辺りを照らしていた。

だがそれはここ(・・)以外の話である。

数十分前、伊作と伏木蔵は薬草を探すため裏々山のどこかにある森の中に入った。

「伊作先輩、全然見つかりませんね……」

「そうだねぇ……やっぱりここにはないのかもしれないね」

倒木に腰をかけながら2人はふぅと息を吐く。

この森は生い茂った木々達が日光を遮っている。そのため地面まで光が差し込んでこない。
薄暗くて気味が悪いが、隙間から漏れ出る光があるのでここまで歩くことは困難ではなかった。

「んーこれ以上探してもなさそうだし、今日はとりあえず帰ろうか？」

「いえ！もう少しだけ探したいです！！」

一向に見つかる気配がないので伊作は諦めて帰ろうと提案したのだが、伏木蔵がそれに反対した。

「……わかった！じゃあもう少しだけ探してみよう！」

頑張るぞー！！と気合いを入れ直し立ち上がると、2人は薬草探しを再開した。

『森に入って探そう』と提案した伏木蔵は、提案者として少しでも結果を残したいと思っていた。それにまだもうひとつの目的も果たせていない。

(薬草ないなぁ……それにスリルとサスペンスもない……)

地面にしゃがみ込み低木を掻き分ける。後ろでは伊作も同じような姿勢で薬草を探していた。

ガサガサと木々を掻き分け地面を注視する。だが薬草は生えていない。

(はぁ、ここもない。伊作先輩の方に行こうかなぁ〜あれ？)

ふと顔を上げると、随分先の木の下に楕円の葉っぱが見える。距離があるためはっきりと目当ての薬草だとは断言できないが、その可能性は充分にある。

(あれかも〜！！伊作先輩にも知らせなくっちゃ！！)

伏木蔵のテンションは一気に上がった。早速伊作に報告しようと後ろを振り向く。だが思っていた場所に伊作がいない。

「あれ？伊作先輩？」

突然いなくなった伊作に不安を覚え、キョロキョロと辺りを探す。すると奥の茂みがガサッと動いた。よく見るとチラチラと茶色の少し癖のある髪が見え隠れしている。

(なぁんだ、伊作先輩あそこにいたのか！よかった〜)

置いて行かれたわけじゃないと一安心。

(きっと伊作先輩も僕と同じように何か見つけたのかな？邪魔しちゃ悪いよね！)

伏木蔵はそう思うと、伊作に声を掛けず自身が見つけたお目当ての薬草かもしれない植物を見に行った。