【忍たま】姉は弟になかなか会えない 6

34-2 〈弟鶴の『幸せ』とは〉 ページ16

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『帰れない』

それは先程、ひとりぼっちで森の中にいたときに思ったこと。心身共に疲れ切って、もう二度と森の中から出ることができず、友達にも先輩にも、家族にも会えないと泣いた。

だけど、そんなことはなくて、お姉ちゃんにまた会うことができた。これで僕は『帰れる』って思ったんだ。

なのに、僕の手を握る粉もんさんは『帰れない』と言う。
タソガレドキに行ったら、僕はもう二度と忍術学園には帰っちゃ行けないんだって。なんでって理由を聞いたら教えてくれた。それに僕はちょっと納得しちゃった。

だからこのまま粉もんさんについて行って、学園に二度と帰らなかったら時のことを想像してみたんだ。


粉もんさんの言う通り、タソガレドキには学園より濃いスリルとサスペンスがいっぱいあると思う。それらをこの目で見ることができたなら、僕はすっごく嬉しいし幸せな気分になるだろう。きっと毎日がワクワクとドキドキの連続で、退屈な日なんてないんじゃないかな？

それになんと言ってもお姉ちゃんがいる。ずっと会えなかった強くてカッコよくて大好きなお姉ちゃん。そんなお姉ちゃんが隣に居てくれるなんて心強いし、例え僕が想像しているスリルとサスペンスが無くたって幸せだ。

タソガレドキが良い場所なのは知っているし、幸せな未来が待ち受けていることは間違いないだろう。










だけどそれは本当に『幸せ』なの？

友達と共に学ぶことも遊ぶこともない。
先輩と一緒に包帯を巻くことも薬草を取りに行くこともない。
試験で良い点を取っても褒めてくれる先生もいない。

そんな生活を僕は『幸せ』だと心から言えるのだろうか。

なんだか鼻の奥がツンと痛い。

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