【忍たま】姉は弟になかなか会えない 6

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かわいいかわいい弟をじっくり堪能し、そのかわいさを自身の脳内アルバムにたっぷり収め、忘れないように記憶に刷り込んでいる真っ最中だったA。これはAにとってとてつもなく大事な時間だった。

大概のことはどうにかなるでしょ！という若干いい加減なところがあるAだったが、この愛で愛でタイムだけは一分一秒でも逃すことを良しとしなかった。しかも今発生しているのは約3年ぶりの愛で愛でタイムなのである。長い年月空白のままであった脳内アルバムを補うかのように、Aはいつに増しても集中していた。しかも伏木蔵にそれがバレないよう、表情は100点満点の笑顔を保つことにも意識を向けていた。

そんな時に『お話しようよ！(意訳)』なんていうしょうもない言葉がAの脳内にぶち込まれた。
突然の外部からの接触はAを大いに驚かせ、張り詰めていた集中力をぶった斬った。おかげで途中保存していなかった脳内アルバムのデータが吹っ飛び、それに焦って笑顔も崩れた。いきなり真顔になった姉を見て驚く弟の顔が視界に移り、あ、かわいいなんて思っても記憶媒体が機能していないのでそれを保存できない。Aはぐっと拳を握った。


「ああ、私も丁度おはなし(殴り合い)したいと思っていたんだ」


『悔しさや悲しさは時として人を暴力的にする』なんて、何処かの文学にでも書かれていそうな文章がパッと浮かんですぐさま弾けた。だってAの場合、これは素の状態での発言なのだから。

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