【忍たま】姉は弟になかなか会えない 6

32：お話しようよ！(意訳) ページ1

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Aが単身洞窟に乗り込み、一言二言雑渡と会話をした後、雑渡の腕の中にいた伏木蔵は洞窟内の隅に下ろされた。ちょっとここから動かないでねと言われたが、その時の雑渡の顔はスリルとサスペンスが好きな伏木蔵でさえゾワっとするものであった。


「はぃん」


おかげで伏木蔵の口から、はいともうんとも聞き取れるような中途半端な声が出た。伏木蔵は思わず口を手で抑えた。この声が自身の口から出たものだなんて思いたくなかったし、Aに聞こえてたら恥ずかしかったのだ。

そんな弟をAはただにこりと笑って見ている。だがそれはあくまでも『側(はた)から見た場合』の話で、実際は、何そのポーズかわいいんですけど！？さすが伏木蔵！！3年経ってかわいさもレベルアップしてるじゃないか！！ブラボー！！！！……といった感じで内心お祭り騒ぎだった。

そんなことは露知らず、雑渡がAに話しかけた。そう、話しかけてしまったのだ。


「さて、久々の再会だしちょっとお話(・・)でもしないか？」


それは一見、当たり障りのない発言だった。ただ、何も告げずに自身の前から居なくなったAに対してなのでちょっと普通の『お話』ではない気もするが、それでも地雷を踏むような発言でなかった。それは紛れもない事実。

だが如何せん、タイミングがすこぶるよろしくなかった。

Aはこの時、絶賛『伏木蔵愛(め)で愛(め)でタイム』だったのだ。ネーミングセンスを疑う名前だが、内容は名前の通りなのでわかりやすさは抜群であった。故に良い名前だとAは自負する。
そもそも他者と共にこれをすることはないし、公にすることもないのでぶっちゃけ名前などどうでも良いのである。なんなら名前なんてなくても良い。だがそれだと格好がつかないだろうというAの変なこだわりが炸裂した結果、このような名前が付いたのだ。

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