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「ん〜その人ではなかったと思う」
千佳のその声に
じゃあ誰だよ。
なんて心の中で思いながら
今朝もらったメモを片手に
電話するか迷う私。
「とりあえずAが無事なら
それでなにより！あんま飲みすぎんなよ〜！」
「千佳もね〜」
電話を切って
しばらくメモとにらめっこ。
「でも、、、
お礼は人として必要だよね。」
見ず知らずの私を介抱して
ホテルまでとってくれて。
(本音は樹であって欲しかった。
なんて贅沢は言わない)
きっと樹の知り合いの一般の人だよ。
心優しい人なんだろうな。
なんて思いながらも
ベルを鳴らす。
「、、出ないじゃん」
何度もかけるのは
さすがに申し訳なくて
留守番電話に伝言だけ残しておいた。
【昨日お世話になった者です。
昨日は本当にありがとうございました。
改めてお礼をさせていただきたいので
伝言聞かれたら折り返しご連絡ください。】
ついでに電話帳にも【優しい人】で登録しておいた
夜11時過ぎ
急に携帯の着信が鳴る。
画面には【優しい人】の文字。
「もしもし？？」
「あ、良かった〜。
まだ起きてたんすね」
電話口の彼は
落ち着いた口調でそう言った。
「あの、昨日は「大丈夫だった？」
すいません、、本当、、、
なんか何から何までお世話に
なったみたいで、、」
「全然っすよ。
なんか、色々溜め込んでみたい
だったんで勝手に色々聞いちゃいましたけど」
「えええっ、、、
私なんか変なこと言ってました、、？」
「浮気する男はカスだ〜とか
この年で結婚なんて出来るわけねーだろー。
とか。なんか度々松村北斗の名前
叫んでましたけど(笑)」
「、、、本っ当にごめんなさい、、、」
穴があったら入りたいとは
こういうことか、、、
「俺は気にしないんで(笑)
俺も色んな話聞いて楽しかったし。
Aさんとも出会えたんで」
不意に呼ばれた名前に
少し胸が高鳴った。
「あの、、お名前を伺っても
いいですか？」
「あ〜、、その前に
1度飯行かない？
昨日介抱したお礼として
ご飯行こうよ」
「え、、でも、、、」
「見ず知らずの人でもないじゃん。
1度会ってるんだし。
今も、話すことそんなに苦じゃないでしょ？」
「、、確かに、、そうなんですけど、、」
「その時にちゃんと自己紹介するから。
それまで俺は謎の男ってことにしといてよ」
そう電話口の彼は楽しそうに言うと
いつ空いてる？と聞いてきた。
「来週の土曜日とか」
「お！俺午後から休みだわ。
じゃあ、その日にしよう」
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作者名：あやぴのかやあ
| 作成日時：2021年2月14日 9時
