35.炭酸ははじけない(3) ページ41
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彼らに近付いていく三橋君の後ろについて行く。
その後ろから伊藤君と理子ちゃんも来たようだ。
三橋君が口元を引き攣らせながら今井さんと一緒にいた女の子に問うた。
「どうしたの、明美ちゃん」
「あ、いや」
その名を聞いて思い出す。
そうだ、この人この前開久の集団と揉めたときにいた女の子の一人だ。
名前は――そう、川崎さん。
三橋君の問いかけに川崎さんが答える前に、今井さんの大きな声が遮った。
「関係ねぇだろぉ!」
「いや関係あるよ」
「え?!」
「俺の」
「おれの?!」
「友達だから」
伊藤君の発言に今井さんが大きなため息をついた。
めちゃくちゃ胸を撫でおろしている。
伊藤君、その言い方はちょっと誤解を生む言い方だ。
「そうなんだ! はじめまして、赤坂理子です」
「川崎明美です……。あんたはこの前会ったッスね」
「あ、Aです。覚えててくれたんですか」
ほんの短い間一緒にいただけだったけれど。
そう言うと、川崎さんは小さく笑ってくれた。
「明美ちゃん? 今井と、まさか付き合って……」
「野暮なこと言うなよ」
被せるように今井さんが言う。
そんな今井さんに三橋君はなぜかお冠らしく、敵意があふれかえった目で今井さんを睨み付けた。
「……さぁさぁ! 二人の邪魔にならないようにいくよ」
「おう」
「はーい」
「…………」
「……三橋君?」
理子ちゃんの一声で私たちは喫茶店を出ようとするが、三橋君が動かない。
今井さんと対峙して、お互い睨み合ったまま目を逸らすことなく立ち尽くしている。
呆れた伊藤君がその手を引っ張って連れ出すまで、二人はその視線に火花を散らし続けていた。
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玉屋(プロフ) - 匿名さん» ありがとうございます、励みになります! (2019年3月2日 10時) (レス) id: 038d2716d2 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 更新、楽しみにしています! (2019年3月2日 2時) (レス) id: fd73c1c988 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玉屋 | 作成日時:2019年2月5日 9時